ミリタリー FPS ゲーム内で登場する銃器デザインについて、ライセンス供与する形で良好な関係を築いてきたゲームメーカーと銃器メーカーの蜜月時代に暗雲が立ち込めてきた。ビデオゲームメーカー側の弁護士によると、90 年代 ビデオゲームメーカー側が潜在的に秘めた訴訟リスクから回避する為に、銃器メーカー側に対して最初のアプローチを掛けた。その後、長年に渡ってゲーム業界側からガン業界側に対して、無料または小額の支払いの下で、合法的なクリアランスが許諾されてきたという。
銃社会・全米を震撼させた Connecticut 州の小学校で発生した銃乱射事件以降、ゲーム大手 Electronic Arts 社の新作タイトル (当時) "Medal of Honor: Warfighter" 公式サイトに設置されていた McMillan Group や Magpul といった銃器メーカー各社へのリンク設置について、報道機関による執拗なメディア攻撃がおこなわれた。これにすぐさま呼応した EA 社は、リンク紹介を取り外し、退役軍人へのチャリティー活動を含めていたマーケティング・タイアップからの離脱をおこなった。EA 社はまた、ゲームメーカー側はライセンスを得ることなくゲーム中にブランド化された銃の使用は可能であるとした見解を示し、使用し続けることを示唆したことが伝えられている。一方の業界リーダー Activision 社では、この件についての見解を述べることを見送っていることが報じられた。EA 社の見解について見方を変えると、同社は商標登録の許諾無く、これまで以上にリアルを追求したゲームは、「憲法の保障する言論の自由」 (Constitutional Right of Free Speech) を主張していると捉えられ、憲法上で保護された公正な使用 (constitutionally-protected fair use) に当たると考えているとの報道も。法律専門家によれば、銃器メーカーがゲームメーカー側を相手に、ライセンス無しで商標付きの銃を使うことに対して訴訟を起こした単独事例は今までに無いとのこと。(因みに EA 社は現在、Battlefield 3 で登場する Bell Helicopter の無許可での使用について、Bell 親会社 Textron 社と法廷闘争中との報道も)
銃器メーカーとのライセンス問題については、米国地方裁判所 カリフォルニア州北部地区で、6 月中に陪審裁判 (jury trial) が設置される由。

Reuters 2013/05/07
Guns.com 2013/05/08
A screenshot of Medal of Honor: Warfighter, from Electronic Arts
Image is for illustration purposes only.