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ソヴィエト・ロシアの宇宙飛行士は、なぜ宇宙に銃と斧を持ち込んでいたのか

海外軍事
英国の地下鉄などで配布されている無料紙 METRO が 2 月 11 日、ソヴィエト・ロシアの宇宙飛行士が銃と斧を宇宙船に持ち込んでいたエピソードについて紹介する記事を掲載した。すでに広く知られた話ではあるが、この機会に当 blog でも紹介したい。

ソヴィエト・ロシアの宇宙飛行士が銃と斧を宇宙船に持ち込んだ理由は、もちろんエイリアンと戦うためでもなければ、米航空宇宙局 (NASA) の宇宙飛行士と戦うためでもない。その理由とは、宇宙船が万が一、予定していた場所から離れた森の中などに着陸してしまった場合に備えたものだ。銃があれば、野生の動物から身を守ることができるし、あるいは食料の確保もできる。また発砲時の閃光と音は、救難信号代わりにもなる。

この銃は「TP-82」と呼ばれるもので、滑腔銃身を 2 本、ライフリングが彫られた施条銃身を 1 本持つ。滑腔銃身には 12.5 x 70 mm、32 ゲージの弾を使い、施条銃身には 5.45 x 39 mm の弾が使われる。また、グリップの下部にはストックが取り付けられているが、ストックとしての機能だけではなく、実は内部には斧が納められている。木や草を切る際など、やはり銃と同様、サバイバルに役立つことを考えてのものだ。

しかし、宇宙船の壁は薄く、万が一暴発でもすれば取り返しのつかないことになりかねない。にもかかわらず銃が持ち込まれた背景には、1965 年に打ち上げられた、ヴァスホート 2 (Voskhod 2) 宇宙船での一件がある。ヴァスホート 2 は人類史上初の宇宙遊泳を行う華々しいミッションではあったが、軌道離脱や機械船の分離などで問題が多発し、地表に無事帰還はしたものの、そこは予定から2,000 km も離れた、森林の奥深く、雪に覆われた地点だった。乗っていた 2 名の宇宙飛行士は、救助を待ちながら、宇宙船の近くで焚き火をしながら過ごす羽目になった。彼らはその後無事に救助されることになるが、捜索に来ていたヘリコプターから、彼らに近付く熊の姿が目撃されており、一歩間違えれば彼らは襲われていた可能性もあった。
TP-82 は 1986 年から 2006 年まで、宇宙飛行士が持つ NAZ と名付けられたサヴァイヴァル・キットの中に含まれていた。実際のミッションで使用されたという記録はないが、訓練などでは宇宙飛行士が実際に射撃することもあり、バランスが良く命中精度も高く、扱いやすいとして、銃としての評判は上々だったようだ。

現在では、弾薬が使えなくなったことや、GPS などの普及によって遭難しても発見しやすくなったこともあり、銃や斧を使用する必要性が薄れてきたことから、搭載されてはいない。

Metro 2015/02/11
Sputnik 2015/02/13
Teddy Reagan 2013/09/07
Text: 鳥嶋真也 - FM201502

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