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並木書房刊「チューズデーに逢うまで - 介助犬と戦傷兵士の深い絆」

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僕たちは介助犬と主人という間柄を超えている。最良の友であり、同類同士であり、兄弟でもある。だが、ソウルメイトとしてはじめから生まれついていたのかというとそうではない。むしろさまざまな体験を通じ、お互いがお互いを必要とする最良のパートナーになって行ったのだ。
戦場で心に深い傷を持つイラク戦争の英雄と、人間不信に陥っていた介助犬・チューズデーとの心の絆を描く感動のノンフィクションが、並木書房より刊行となった。元米陸軍大尉の加藤喬 (かとう たかし) 氏が翻訳を手掛けている。
イラク戦争の英雄として多くの勲章を授与されたモンタバン大尉。二度に渡るイラク派遣中、彼は決して困難な任務に対し尻込みすることはなかった。しかし戦闘任務を終えて帰還すると、目に見える肉体的な戦傷に加え、外傷性脳損傷や PTSD (心的外傷後ストレス症候群) を発病。慢性の苦痛と戦争の記憶に付き纏われ、階段の昇り降りや復員軍人病院行きのバスに乗ることすらできなくなった。酒に溺れ、口論を繰り返す生活の挙句、モンタバンは愛する人々との絆を自ら絶ち切り、孤独の底に沈んでいった。

ちょうどその頃、モンタバンはチューズデーに逢う。障害者の手足となるべく訓練された介助犬。美しく個性豊かなゴールデンリトリーバーだった。チューズデーは服役囚と生活を共にし非行少年らの矯正施設で育てられ、その過程で多くの人々の心の触れてきた。障害者のためにドアを開け不安神経症やフラッシュバックの発作を感知できる犬だった。しかし、その一風変わった訓練環境と繊細な性格のため、モンタバンと出逢うまで人間を信頼することができなくなっていた。

本書「チューズデーに逢うまで」は2011年に出版されるや、3年連続でニューヨーク・タイムズのベストセラー入りを果たし、すでにスペイン語、韓国語、ハンガリー語、タイ語にも翻訳されています。米国アマゾンのレビューは2,000本を超え、その9割が星5つとなっており、ハリウッドでは映画化の話も進んでいます。

また日本においては、同時期にほるぷ出版から児童書「ぼくは、チューズデー」という写真絵本が出版されます。この児童書は米国アマゾンで「2014年子供向けベストノンフィクション」に選ばれました。


ルイス・カルロス・モンタバン(Luis Carlos Montalvan)
元米陸軍大尉。米陸軍に17年間勤務し、イラク戦争に2度出征。戦闘行動章、青銅星章(2回)、名誉戦傷章を授与される。モンタバンの記事はニューヨークタイムズ、ワシントンポストほか多数掲載され、全米公共ラジオ、CBS、CNN等で、その戦場体験、チューズデーとのリハビリ生活に関する特集番組が放送されている。ジャーナリズム修士。現在コロンビア大学戦略通信修士号課程在籍。本書"Until Tuesday "は2011年から3年連続でニューヨーク・タイムズのベストセラー入りを果たし、その児童書"Tuesday Tucks Me In"は米国アマゾンの2014年度児童書部門第1位。またチューズデーは動物介在療法の啓蒙活動に貢献したとして、米国ケンネルクラブの2013年度名犬賞(ACE)を受賞。

加藤 喬(かとう・たかし)
元米陸軍大尉。都立新宿高校卒業後、1979年に渡米。アラスカ州立大学フェアバンクス校他で学ぶ。88年空挺学校を卒業。91年湾岸戦争「砂漠の嵐」作戦に参加。米国防総省外国語学校日本語学部准教授(2014年7月退官)。著訳書に第3回開高健賞奨励賞受賞作の『LT-ある“日本製”米軍将校の青春』(TBSブリタニカ)、『名誉除隊』『加藤大尉の英語ブートキャンプ』『レックス 戦場をかける犬』(いずれも並木書房)がある。現在メルマガ「軍隊式英会話術」を配信中。


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