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「特殊部隊に安全な水を届ける」小型浄水装置の研究開発に向けた取り組み

海外軍事
ジェイ・レイエス少佐 (Maj. Jay Reyes) の勤務地は、フォート・フラッグ基地ではなく、ノースカロライナ大学の研究施設である。「少佐」のような高級将校ともなれば、基地内に見晴らしのよい窓がついた専用オフィスと高級ソファが与えられるのが常だが、レイエス少佐に与えられたのは、大学の環境化学学部の実験器具の保管倉庫であり、そこには、事務机と水の成分が書かれたホワイトボードだけがあった。

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    なぜ、少佐はこのような環境に置かれているのか。それは、レイエス少佐の任務は部隊指揮や戦術研究ではなく、小型の浄水装置の研究・開発だからである。

    レイエス少佐は、この「勤務地」にやってくる前は、第3特殊作戦軍の支援大隊グループに所属する士官であった。2010年にアフガニスタンから帰還すると、陸軍医療部門の長期健康教育訓練プログラムに参加するように命じられ、ニュージーランドおよびマレーシアの特殊部隊とともに重力ろ過器の開発を行っている。


    JTF Guantanamo photo by Army Spc. Cody Black
    Image is for illustration purposes only.
    アメリカ軍にとって、軍事物資の供給、とくに「水」の供給の効率化は、緊急に解決するべき問題である。イラクにせよ、アフガンにせよ、前線・後方を問わず、現在のアメリカ軍は、水をボトルに詰めて、戦地に供給し、これらにかかるコストは膨大なものとなっている。もし、これが現地の井戸水や川の水をろ過して飲料水として使うことができれば、どれだけのコストや労力が削減できるだろう。レイエス少佐のアフガンでの体験では、現地の人々は、不衛生な水、ときには化学肥料さえ混ざっている水を飲んでいた。このような水はとてもアメリカ兵が飲めるようなものではなかった。


    U.S. Air Force photo by Staff Sgt. Jacob N. Bailey
    Image is for illustration purposes only.
    もし、このような水を簡単に浄化することができれば、特殊部隊は、より遠く、深く敵地に潜入し、長期間わたり作戦を行うことができるだろう。現在、特殊部隊向けの飲料水の供給手段は、航空機からの投下しかなく、万が一、部隊が水を受け取ることができなければ、作戦に大きな支障が出ることは明らかである。

    「このような状態を解消するために、私は『小部隊向け浄水器』の開発を行っています」、レイエス少佐は語る。
    現在、少佐は、ノースカロライナ大学環境衛生学部のスタッフとフォート・ベニングの特殊部隊士官と協力して、国の衛生基準を満たすことができ、可搬性に優れた浄水器の開発を行っている。陸軍は、防水機能を持ち、高い可搬性、そしてどのような環境でも簡単に操作できることを求めている。

    「この開発の直近の目的は特殊部隊向けでありますが、この浄水器が世界保健機構(WHO)、災害管理予防センター(CDCP)、そして連邦緊急時代管理庁(FEMA)などでも、活用されることを考えています」。「これらの組織で運用されれば、世界中の災害や緊急事態に、安全な水を提供することができるでしょう」。レイエス少佐は語る。

    このような将来性のある研究を行っているレイエス少佐が、直面している問題は、別のところにある。それは、実験装置の製作や運用にかかる資金が足りないことである。現在、陸軍が、資金的な支援(と言っても、参考資料や書籍を購入する程度)を行っているが、最終的な浄水装置の完成には、まったく資金が足りない。レイエスは、資金援助を求めるウェブサイトを開設しているので、興味のある方は訪問して欲しい。gofundme.com/jayreyes-research.

    Fayobserver.com 2015/05/26
    University of North Carolina Gillings School of Global Public Health 2015/04/21
    Text: 友清仁 - FM201506

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