起伏の激しい路面でも、400 ポンド (＝約 181 キログラム) にも及ぶ荷物を運び、海兵隊の分隊に随伴することができる馬匹 (ばひつ) 型ロボットとして注目されていた DARPA (Defense Advanced Research Projects Agency: 米国防総省国防高等研究事業局) の LS3 (Legged Squad Support System) 。

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海兵隊戦闘研究所 (MCWL : Marine Corps Warfighting Lab) のスポークスマンが Military.com に伝えたところによると、「ロボットラバは、駆動時に芝刈り機のエンジン音のような大きなノイズを発しており、部隊の存在を敵に悟られ、危険に陥れてしまう可能性がある」と問題点が上がり、実戦での利用を見送りすることになったと明かした。また、大きなノイズ音の問題の他にも、装置の修理やパトロール部隊との統合に関する課題も含まれていたことにも言及している。

Photo By: Sgt. Eric Keenan

Spot, a quadruped prototype robot, aids Marines in clearing a room during a demonstration at Marine Corps Base Quantico, Va., Sept. 16, 2015.Employees of the Defense Advanced Research Projects Agency trained Marines from the Marine Corps Warfighting Lab how to operate “Spot”.

LS3 では通常サイズの「クジョ― (Cujo) 」と小型版の「スポット (Spot) 」が開発されている。計画は、DARPA とボストン・ダイナミックス社との間で 3,200 万ドル (＝約 38 億 6,000 万円) で開発契約がおこなわれ、海兵隊から追加で 1,000 万ドル (＝約 12 億円) の資金提供を受け、5 年の歳月を掛けて進められてきた。

小型版のスポットは、電気エンジン駆動であることからノイズ音が低減されているものの、運搬可能な荷重もそれに伴って小規模化されている。海兵隊では通常、100ポンド (＝約 45 キログラム)にも及ぶ装備を自らの手で運ぶが、スポットが運搬できるのは、僅か 40 ポンド (＝約 18 キログラム) に過ぎず、部隊の運搬役としては「役不足」とレッテル貼りされたとのこと。

2030 年までにロボット化を進めたい軍にとっては「後退」であるようにみえるものの、乗り越えられない課題では無いことから、次なるチャレンジの際には、静粛性に優れたロボットが要求されると考えられている。

2013 年 12 月、ボストン・ダイナミックス社は IT 大手のグーグル社により買収。グーグルはこの他にも、東京大学発のヒト型ロボットベンチャー「シャフト社 (SCHAFT Inc) 」を筆頭に、世界のロボット企業 7 社を次々と買収し、ロボット事業への取り組みを加速させている。

Military.com 2015/12/22