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医師救出作戦で英雄的活躍をした米海軍特殊部隊「ST6」隊員が名誉勲章 (MoH) を受章

海外軍事
ホワイトハウスは 2 日、海軍特殊部隊の隊員に対して、米軍最高位の勲章である「名誉勲章 (MoH: Medal of Honor) 」の叙勲を発表した。

受章者は特殊部隊 SEAL 隊員のエドワード・バイヤーズ (Edward Byers) シニアチーフ。2012 年にアフガニスタンでおこなわれた、医師 ディリップ・ジョセフ (Dilip Joseph) 氏救出作戦において、自己の犠牲を顧みず任務を超越した勇猛果敢な活躍が評価されての受章となる。

ホワイトハウスの発表では詳細は明かされていないが、当時の救出作戦を報じたニュースなどからは、ある程度のことが分かるものとなっていた。

ジョセフ氏は、米コロラド州コロラドスプリングスを本拠とする非営利のアフガン支援団体、モーニング・スター・ディベロップメント (Morning Star Development) で医療顧問 (medical director) を務める援助活動家。2008 年から 10 度アフガニスタンに渡っていた。

2012 年 12 月 5 日、ジョセフ氏は、首都カブールの東側郊外にある医療クリニックで過ごした後、アフガニスタン人の通訳者と同僚と共に、帰路に着いたその道中で突然、AK-47 で武装した 4 名の男による襲撃を受けた。ジョセフ氏ら 3 名は、銃を突き付けられた状態で連行されている。

ジョセフ氏らが幽閉されていたのは、パキスタンから程近いアフガニスタン・ラグマーン州の山岳地帯。その後、モーニング・スターの緊急対応チームによる交渉の末、12 月 8 日に 2 名のアフガニスタン人は解放されたが、ジョセフ氏の解放は無かった。

国際治安支援部隊 (ISAF: International Security Assistance Force) は、集められた情報からジョセフ氏は差し迫った生命の危険にあると考えていた。当時 ISAF で司令官を務めていたジョン・アレン (John R. Allen) 米海兵隊大将は、襲撃作戦の実行を承認。米軍 Tier 1 の最精鋭チーム (ST6: Seal Team 6, a.k.a. "DevGru") が差し向けられた。

襲撃作戦が実行された当時の様子については、後にジョセフ氏が綴った回顧録「Kidnapped by the Taliban」で克明に記されている。それによると、ジョセフ氏は、幽閉されていた小屋の外で銃声を聞き付けるや、ほど無くして夜間暗視ゴーグルを装着した重武装に身を包む兵士が、「ディリップ・ジョセフ氏はここなのか?」と、聞き慣れた英語で叫ぶ声を確認している。

また当時、作戦の様子を報じていた USA トゥディによると、この襲撃作戦で 5 名のタリバン戦闘員が死亡している。一方の SEAL 側は、敵アジトに突入した最初のチームにおいて、AK-47 の銃弾を浴び、ニコラス・チェッケ (Nicolas D. Checque) 一等兵曹が犠牲となっている。その様子を見ていたバイヤーズ氏は銃撃戦の最中で咄嗟にガードし、他の敵メンバーへの体当たりを試み、取っ組み合いの格闘をした末に、敵を力で捻じ伏せたことが伝えられている。

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    オハイオ州トレド出身のバイヤーズ氏は 1979 年 8 月 4 日生まれの 36 歳。地元トントガニーのオテスゴ高校を卒業後、1998 年に海軍入隊。衛生下士官 (hospital corpsman) として軍でのキャリを積み始めた。その後、2002 年に SEALs 基礎水中爆破訓練 (Basic Underwater Demolition/SEAL、BUD/S) を無事に終えトライデントを取得。以降、様々な SEAL チームで 8 度の海外派兵を経験。その内、7 度は戦闘派兵であった。

    バイヤーズ氏の軍での経歴の中でこれまでに分かっている勲章などは以下の通り。

    戦闘功労付き統合任務功績章 (Joint Service Commendation with "V") × 1
    戦闘功労付き青銅星章 (Bronze Stars with combat "V") × 5
    名誉戦傷章 (Purple Hearts) × 2
    戦闘功労付き海軍・海兵隊称揚章 (Navy and Marine Corps Commendation Medals with Combat “V”) × 1
    海軍・海兵隊称揚章 (Navy and Marine Corps Commendation Medals) × 2
    戦闘行動章 (Combat Action Ribbon) × 2

    SEAL での名誉勲章の叙勲は、ベトナム戦争時代の 3 回の他、近年では SEAL 創設以来最悪の出来事として語られるアフガニスタン「レッド・ウィング作戦 (Operation Red Wings) 」で犠牲となったマイケル・マーフィー (Michael P. Murphy) 大尉と、2006 年にイラク・ラマディの戦闘中に仲間をかばい手榴弾の上に身を投げ犠牲となったマイケル・モンソール (Michael Anthony Monsoor) 2 等兵曹に次いで 6 度目。

    米軍最高位の勲章である名誉勲章は、生存者が受け取ることの難しい勲章。バイヤーズ氏は、アフガニスタンでの戦争において 11 番目の生存受章者になる。

    バイヤーズ氏は、2 月 29 日にバラク・オバマ米大統領から、この栄誉ある勲章が手渡される。

    White House 2016/02/02

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