米陸軍が遺伝子組み換えをした蚕、「スパイダーシルク」の開発契約を拡大
「スパイダーシルク(Spider Silk)」開発の先駆けである米ミシガン州アナーバーのクレイグ・バイオクラフト・ラボラトリーズ社(Kraig Biocraft Laboratories, Inc.)は2日、米陸軍から90万ドル(=約9,900万円)以上の契約を受けたことを明かした。
Photo Credit: Staff Sgt. Kai L. Jensen, 76th Operational Response Command
Image is for illustration purposes only.
昨年7月に既報の通り、陸軍はクレイグ社との間で、クモのDNAを取り入れた蚕の糸を使った製品開発に関する契約を取りまとめている。
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当時は1万ドル(=約104万円)に過ぎない初期試験的な意味合いだったが、その後の開発を成功裏に収め、この5月に送り出したサンプルが陸軍担当者の評価を獲得。今回の契約締結では12ヶ月間に渡る第二フェーズに入ったことが示されている。そして、契約総額もそれに合わせて上昇し、当初想定の通り100万ドル(=約1億1,000万円)を超えるものに膨れ上がっている。
Photo from Kraig Biocraft Laboratories
クモが獲物を捕獲するときや危険を察知して退避するときなどに吐き出す糸は「強く」「伸びる」性質を持ち合わせており、自然界の中で最も強靭な素材の1つとして広く知られている。その強度は、同じ太さの鋼鉄の5倍、そして伸縮率はナイロンの2倍あると言われている。
Photo from Yellowstone's Photo Collection
その一方で、肉食のクモは縄張り意識が強く、共食いする習性があることから大量生産に向いておらず、生産効率を追求した費用対効果の高い「クモファーム」を形成することは極めて困難だと考えられている。
この問題に対処するために、クライグ・バイオクラフト社は、10年以上に渡ってカイコに遺伝子操作する方法を試みていた。その結果、生産効率が高く、強靭なクモ糸シルク「ドラゴン・シルク(Dragon Silk)」の生産に成功。カイコにクモのDNAを挿入したことで、防弾素材として従来使われてきたケブラーほど「強靭では無い」ものの、アンダーウェアにも適した「柔軟」なファブリックを得ることが出来るようになる。
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