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100 番目のヴィクトリア十字章叙勲者、豪陸軍特殊部隊 故キャメロン・ベアード伍長の戦闘記録

海外軍事

Photo: Australian War Memorial official Flickr
オーストラリア首都キャンベラにある戦争記念館 (Australian War Memorial) が 14 日、公式 Flickr を使ってヴィクトリア十字章 (Victoria Cross (VC) for Australia) 叙勲者、故キャメロン・ベアード (Cameron Stewart Baird) 伍長 追悼記念イベントの様子を掲載した。

同記念館の中には、ベアード伍長が戦地で実際に使ったグレネードランチャー付きのライフルや戦闘服、装備などが展示されている。
Cameron Baird VC display / Australian War Memorial official Flickr

Photo: Corporal Cameron Stewart Baird VC MG
ベアード伍長は 1981 年生まれ、タスマニア州バーニー出身。2000 年 1 月に陸軍入隊。その後 2004 年に一度は除隊したものの、2006 年に再入隊を果たしている。軍に在籍中のいずれの期間も特殊作戦司令部隷下、ロイヤル・オーストラリア連隊 第 4 大隊に所属していた。なお、ベアード伍長が所属した同連隊は、2000 年 2 月に現在の第 2 コマンド連隊へ改称されている。

また、ベアード伍長は中東地域に展開する特殊作戦タスクグループ (SOTG: Special Operations Task Group) のメンバーとして活躍。SOTG は現在、ダーイッシュ (Daesh, IS, Islamic State, ISIS, ISIL) との闘いを掲げ、イラク治安部隊へカウンターテロの補助をおこなったり、軍事アドバイザーとして機能するスペシャリスト集団として知られる。


Capture screen: 2nd Commando Regiment official webpage
戦没した英雄を後世に示すために開設された、豪国防省のベアード伍長特設ページには、ベアード伍長が特殊作戦に従事する兵士として、如何に優れた人物であったかを示す内容が詳細に綴られ、各種作戦への従軍記録と、同国最高位の「ビクトリークロス」をはじめとする、様々な勲章・栄誉が授けられたことが示されている。

[Service Operations]
* Operation TANAGER (Timor-Leste) - April 2001 - October 2001
* Operation BASTILLE (Iraq) - February 2003 - March 2003
* Operation FALCONER (Iraq) - March 2003 - May 2003
* Operation SLIPPER (Afghanistan) - August 2007 - January 2008
* Operation SLIPPER (Afghanistan) - March 2009 - July 2009
* Operation SLIPPER (Afghanistan) - July 2011 - February 2012
* Operation SLIPPER (Afghanistan) - February 2013 - June 2013.

[Honours and Awards]
* Victoria Cross for Australia
* Medal for Gallantry
* Australian Active Service Medal with 'East Timor', 'Iraq 2003' and International Coalition Against Terrorism (ICAT) clasps
* Afghanistan Medal
* Iraq Medal
* Australian Service Medal with 'Counter Terrorism / Special Recovery (CT/SR)' clasps
* Australian Defence Medal
* United Nations Medal with Ribbon United Nations Transitional Authority in East Timor
* NATO Meritorious Service Medal
* NATO Non-Article 5 Medal with 'International Security Assistance Force (ISAF)' and multi-tour indicator '3'
* Meritorious Unit Citation - Task Force 66 (Special Operations Task Group), Afghanistan
* Infantry Combat Badge
* Returned from Active Service Badge

2013 年 6 月 22 日、ベアード伍長は、特殊作戦タスクグループの一員として、アフガニスタン治安部隊と共に、同国南部のウルーズガーン州ガウチャク村へヘリコプターを使った襲撃作戦を実行する為に向かった。襲撃作戦の目的は、敵地奥深くに蔓延る武装勢力ネットワークの破壊。

敵地に侵入するや否や、ベアード伍長のチームは数名の敵武装勢力との間で銃撃戦を繰り広げている。いち早く戦闘の主導権を取得したベアード伍長らは、銃撃戦を優位に進めて 6 名の敵武装勢力を殺害している。

ベアード伍長らの初戦を横目に、近くに展開した別のチームは敵の猛烈な銃火を浴び、司令官が重傷を負う羽目になっている。この事態を知ったベアード伍長は、躊躇することなくチームメンバーを率いてサポートに駆け付けた。

サポートに回る中、敵武装勢力の待ち伏せ攻撃を受けたベアード伍長らのチーム。チームメンバーのサポートを受けながら、ベアード伍長は自身の安全を顧みず、敵の攻撃位置目掛けて猛烈な反撃をお見舞いしている。

しかしそこは敵武装勢力のお膝元。勢力で上回る敵武装勢力は、ベアード伍長を筆頭とする猛烈な反撃の中にもかかわらず、更なる追加の増援が駆け付けることになる。

このような危機的状況の中ではあったが、精鋭兵士として戦闘のイロハを体得してきたベアード伍長は、臆することなく、戦闘本能に従って持ってきた手榴弾と使い慣れたライフルを駆使して反撃。チームメンバーが敵の居場所に近付けるようお膳立てをしている。

ベアード伍長の活躍もあり、まとまりをみせていた敵武装勢力の攻撃配置は分断され、チームは再びこの戦闘における主導権を取り戻すことになる。


Photo: 2nd Commando Regiment
Image is for illustration purposes only.
敵の支配する建屋に突撃を仕掛けたベアード伍長。しかしそこは、難攻不落の要塞だった―。

最初の攻撃でベアード伍長はドアを蹴破り突入。ベアード伍長の突入を合図に別のチームメンバーが後に続いて雪崩れ込んだ。

しかし、そこで待ち受けていたのは敵の銃火だった。

敵と最接近した状況の中でベアード伍長のライフルが突如機能しなくなり、その場から一時退散を余儀なくされる。ライフルの状態を確認し、チームメンバーから弾薬を確保したベアード伍長は、再び敵の潜む建屋へ向かい、激しい銃火の中に身を投じる。

何とかドア付近で交戦するも、自らの場所を確保することすらままならない状況となり、弾薬の再装填をおこなうためにその場を一時避難。

そして 3 度目となる攻撃を仕掛けた。チームメンバーを敵の銃火から引き離すために、ただ無心で建屋の入口へ猛然と駆け寄った。

ベアード伍長の動きに合わせて、敵の放った銃弾が地面や壁を刻み、激しく放たれた銃弾の嵐によって辺り一帯が硝煙と土埃で視界を無くしていく。

熾烈を極めたこの交戦において、献身的な活躍空しくベアード伍長は敵銃弾の前に倒れ、帰らぬ人となってしまう。しかし、その勇気ある行動 (acts of valour) と自己犠牲 (self-sacrifice) によって、戦闘の主導権を再び取り戻し、多くのチームメンバーの命を救うこととなった。


ヴィクトリア十字章 (VC: Victoria Cross) は、1856 年のクリミア戦争の最中に、大英帝国のヴィクトリア女王によって創設された戦功章。その後、英連邦内にあったオーストラリアにも個別の功績制度が導入され、1991 年に「オーストラリア・ヴィクトリア十字章 (Victoria Cross (VC) for Australia) 」が創設。ベアード伍長はオーストラリア軍兵士としては 4 番目、旧制度を含めた全体で 100 番目の叙勲者としてその名を刻んでいる。

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