アメリカ陸軍特殊部隊の「デルタフォース」と「グリーンベレー」は何がどう違うのか

海外軍事レポート

US Army photo by Spc. David Welker / Released
同じく陸軍の系統で、同じく特殊部隊……という「デルタフォース」と「グリーンベレー」。実際の報道でも敵の勢力圏奥深くに浸透し任務を遂行する……というものが多いが、それならば一体なぜ2つの部隊を分けているのだろうか。その違いは何なのだろうか。

ミリMONO

    loading
    ミリMONOをもっと見る

    U.S. Army photo by 3rd Special Forces Group (Airborne) Public Affairs
    1. 機密度
    最近「米軍デルタフォースが○○という作戦を成功させた」というニュースを耳にすることが多い。しかし1977年の創立から40年近くたった今も、アメリカ政府はこの部隊の正式な名前を公表していない。

    実は「デルタフォース」も通称でありCAG(Combat Application Group……戦闘適応グループ)ACE(Army Compartmented Element……陸軍別動エレメント)などと様々な略称があるほか、海軍特殊部隊SEALsのTeam 6などと合わせてSMU(Special Mission Unit)と呼ばれている。ちなみに「Tier One(第1層)」と表現されることがあるが、これは予算の割当優先順位を指しており、必ずしも戦力や技術のレベルを指すわけではないようだ。メンバーは守秘義務契約書にサインをしており、これに違反した場合は罪に問われる。

    こうして極秘のベールに包まれたデルタフォースと違い、グリーンベレーは存在が認められており、時には積極的な広報を行うこともある。

    ところで、今では特殊部隊員全般を指すようになった「Operators」は元々はデルタフォースのアサルターやスナイパー、その他の戦闘員を指す言葉であった。CIAの工作員が「Operatives」と呼ばれていたので、それと混同しないようにするためである。


    U.S. Army photo by Sgt. Stephen Cline
    2. 任務の内容
    グリーンベレーは冷戦真っ只中の50年代に創立された。次の戦争はヨーロッパの平原で核爆発のキノコ雲の下をワルシャワ条約機構軍の機甲師団が突撃してくると誰もが考えていた時代に、全面核戦争ではなく代理戦争として、低烈度のゲリラ戦が世界各地で戦われると考えた人間が軍の上層部にいたのである。

    こうした戦争を有利に戦うため共産主義政権の国に密かに潜入、反政府レジスタンスにあらゆる非正規戦闘技術を伝授しクーデターによって政権を転覆、親アメリカ国家を作り上げる……というのがグリーンベレーの究極の目標である。近年では「CIF(Commanders In-extremis Force……指揮官直轄の緊急対応部隊)」エレメントが各部隊にあり、海外における一般人の救助・脱出などにあたっているようだ。

    これに対しデルタフォースは、敵重要人物の捕獲や暗殺、拠点強襲など極少人数・超短時間で強い打撃を与えるための攻撃部隊である。元々対テロ戦争のために作られた部隊であり性格はまったく違うものである。


    Photo Credit: Sgt. Derek Kuhn, 40th Public Affairs Detachment
    3. 選抜過程
    選抜過程もまったく性質が違うものである。グリーンベレーになるためにはQコースと呼ばれる身体能力試験、そして非正規戦を模した「ロビン・セージ」と呼ばれる模擬戦闘演習を突破しなければならない。合格は容易なことではないが、内容自体は一般的で分かりやすいものだ。なお制度上は新兵からでも「18X Special Forces Candidate Jobs」として応募が可能である。

    対してデルタフォースを志願するにはまず何年かの軍歴と階級が必要である。そしてその選抜テスト……「A&S」は尋常ではない体力が求められるのはグリーンベレーやその他の特殊部隊と同様であるが、それ以上に精神力の強さが求められ、評価基準も謎めいている。

    典型的な内容はウェスト・バージニアの山地を曖昧な指示だけを与えられ、いつゴールできるのかも分からずにハイクさせられるというものだが、その他にも様々な心理テストが行われる。中には何をテストされているのか分からないものもようだ。こうしてどんな環境でも一人、あるいは小さなチームで任務を実行できる精神力があるかどうかを試されるのである。


    Photo: courtesy of U.S. Army
    4. 部隊の規模
    その人数も大きな違いがでる。アメリカ陸軍特殊作戦コマンドは、サポートする非軍人を含め総勢約3万4千人という大所帯だ。グリーンベレーは7つのグループに分かれ世界中に駐留、各地の紛争に介入し続けている。これに対してデルタフォースは総勢1000人とも1500人とも言われる小さなグループで、全員がフォート・ブラッグ基地にいる。

    Source: Is Delta Force Different Than Green Berets? - Warrior - Scout

    Text: Chaka (@dna_chaka) - FM201612
    Chaka (@dna_chaka)
    世界の様々な出来事を追いかけるニュースサイト「Daily News Agency」の編集長。


    同じカテゴリー(海外軍事)の記事画像
    状況認識能力の向上で戦闘力アップを図る米陸軍の兵士視覚インタフェース技術
    国土の98%が砂漠地のアフガニスタンでANA戦闘服は森林迷彩?監察官が米国の血税の無駄遣いを指摘
    統合軽戦術車輌(JLTV)米陸軍最初の配備先は「第10山岳師団」の旅団戦闘チーム
    南アフリカのツルベロ社が各国軍での需要を見込み、イスパノ20×110mm弾を使用する対物狙撃銃を再設計
    カナダ軍特殊部隊JTF-2スナイパーが、3,450メートルの狙撃を成功。世界最長距離の公認狙撃記録を大幅更新
    オーストリアが対テロ特殊部隊「コブラ」用にラインメタル製レーザー・ライト・モジュール「VarioRay」を発注
    同じカテゴリー(海外軍事)の記事
     状況認識能力の向上で戦闘力アップを図る米陸軍の兵士視覚インタフェース技術 (2017-06-23 17:47)
     国土の98%が砂漠地のアフガニスタンでANA戦闘服は森林迷彩?監察官が米国の血税の無駄遣いを指摘 (2017-06-23 14:25)
     統合軽戦術車輌(JLTV)米陸軍最初の配備先は「第10山岳師団」の旅団戦闘チーム (2017-06-22 19:35)
     南アフリカのツルベロ社が各国軍での需要を見込み、イスパノ20×110mm弾を使用する対物狙撃銃を再設計 (2017-06-22 18:11)
     カナダ軍特殊部隊JTF-2スナイパーが、3,450メートルの狙撃を成功。世界最長距離の公認狙撃記録を大幅更新 (2017-06-22 13:27)
     オーストリアが対テロ特殊部隊「コブラ」用にラインメタル製レーザー・ライト・モジュール「VarioRay」を発注 (2017-06-21 19:25)

    この記事をブックマーク/共有する

    この記事をはてなブックマークに追加

    新着情報をメールでチェック!

    ミリブロNewsの新着エントリーをメールでお届け!メールアドレスを入力するだけで簡単にご登録を頂けます!

    [入力例] example@militaryblog.jp
    登録の解除は →こちら

    ひとつ前のニュース ひとつ次のニュース

    PageTop