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【ミリタリー雑学】Tan499とかCoyote Brown498って結局ナニ?

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こんにちはミリブロNewsの今井です。
最近ふと、米軍系の装備でTan499とかCoyote Brown498(以下タン499とコヨーテブラウン498)という色の指定があって混在しているけど、これってなにか厳格な基準とかあるのだろうか?似たような色だけど分ける理由ってあるんだろうか?
と思ったことがきっかけで、調べてみたところ色々わかってきました。

そこで今回は米軍の使用するタン499とコヨーテブラウン498についてご紹介します。皆さんの装備の参考になれば幸いです。



米軍は混在する迷彩パターンに頭を悩ませていた



【ミリタリー雑学】Tan499とかCoyote Brown498って結局ナニ?
ヘルメットは6C、戦闘服は3C、ベストはウッドランドを着ていることがわかる
(https://wallpapercave.com/black-hawk-down-wallpapers より引用)


 もともと世界中に展開する米軍は、地域に合わせて色々なパターンの迷彩を着用していることはみなさんも義務教育で習ったと思います。もちろんその迷彩パターンは時代によってもかわります。
映画「ブラックホークダウン」ではレンジャーの隊員が異なるヘルメットと戦闘服の迷彩パターンを着用して話題になりましたが、これもそもそも米軍が「6カラーの砂漠迷彩をつくったら思いの外効果がなくて急遽3カラーの砂漠迷彩をつくった」「だけどヘルメットまで配備が間に合わなかった」というのが理由です。
なので当時のレンジャー隊員は「頭は旧型の迷彩、体は新型の迷彩」を着ていたわけですね。さらにはウッドランドパターンのベストを着ていてたりと混沌ぶりがわかります。
迷彩パターンが変わるたびに戦闘服だけでなく、ヘルメット、ベスト、ブーツなどあらゆる装備の色を変更するのは現場の隊員からも、装備をつくる側からしてもたまったものではありません。コストもかかりますしね。

そういった理由もあって、アメリカ陸軍は「一つのパターンで全地域をカバーできる迷彩」の開発に着手したと言われています。



アメリカ陸軍がOCPを採用する



【ミリタリー雑学】Tan499とかCoyote Brown498って結局ナニ?
比べるとはっきり違いがわかるけど、単体ではそこまでの違いはわからない


 紆余曲折あり、アメリカ陸軍は2015年に「1つのパターンで全地域をカバーできる迷彩」としてOCP(Operational Camouflage Pattern、マルチカムの様なもの)に落ち着き、正式に配備をすすめていきます。これまでは移行期間ということもあり猶予があったようですが2019年10月1日から着用が義務化ということとなります。
また空軍もアフガニスタンに展開する兵士からの評価も高かったことでこのOCPを採用し、陸軍と同様にOCPの着用を義務化していくことになっていきます。

ちなみにOCPとマルチカムは大元が同じなのでパターンの違いを伝えることが難しいのですが、マルチカムにはOCPにはない垂直方向にパターンがあるのでここを基準にすれば区別しやすいはずです。
お母さんにコロコロコミックを頼んだのにコミックボンボンを買ってこられた苦い経験のある方は多いと思いますが、お母さんにマルチカムを買ってくる様に頼むときは「垂直方向にパターンがあるものを買ってきて」と伝えるときっとマルチカムを買ってきてくれると思います。

このマルチカムにある「垂直パターン」ですが、迷彩効果を狙ったものというよりはOCPとの知的財産の権利で揉めないように、という理由が強いようです。



タン499とコヨーテブラウン489はアメリカ陸軍と空軍が戦闘服の一本化を目指した結果




【ミリタリー雑学】Tan499とかCoyote Brown498って結局ナニ?
個人的にはコヨーテブラウンの方が合うような気がします


 さてこのOCPですが、これまで米軍が着用してきた迷彩パターンよりも色が「暗め」に設定されていることもあり新規で着用するシャツなどもそれに合わせた色を求められることになりました。
その結果陸軍は「タン499」、空軍は「コヨーテブラウン489」を採用します。
空軍は陸軍のとの「違い」を際立たせるためコヨーテブラウン498に設定した、というのが事の真相のようです。
つまりあまりはっきりした理由はなかった、と。

※AAFES(Army Air Force Exchange Store、アメリカ陸空軍の物販所でコストコの様な感じです)ではなぜか空軍の方もTan499と書いてあったり面白いです

とはいうものの、現場は混乱していた模様
 
 しかし、海外のフォーラムなどをみるととりわけ空軍は混乱している様なコメントが多く(私が思う)アメリカっぽさが出ています。
抜粋すると

・コヨーテブラウン498の着用義務の期限が近づいているが、そもそも売っていない
・俺はコヨーテブラウン498の色が嫌いだ
・同じ迷彩を着るのにわざわざ陸軍と区別する理由がわからない
・そもそも空軍は「制服」ですらまともに規定できないほどシステムが崩壊している、というか崩壊していないシステムがない

などなど。やはり現場は相当すったもんだしていたようです。


編集後記
 
 タン499とコヨーテブラウン498が発生した理由は同じOCPを採用した陸軍と空軍が「違いを出すため」ということがわかってきました。
しかし、どこを探してもそこに「科学的な根拠(迷彩効果が高い、など)」を見つけられなかったのでおそらく本当に陸軍空軍のプライドの問題の様です。
ここからは推測ですが、空軍からすると「陸軍のお金で開発した迷彩服を着て、シャツ類まで同じ色にすると陸軍と変わらなくなるじゃないか、俺たちは陸軍の子分かよカッコ悪い」というような理由なんではないでしょうか。

この手の話は枚挙に暇がなく、日本でもある大学で工学部が理学部を吸収して「理工学部」に名称の変更をするということがあったんですが、教授会で工学部の教授陣が「工学部が理学部を吸収するのに理工学部はおかしいだろ、なんで理学部が先にくるんだ工理(こうり)学部だろ」と怒りまくったという嘘のような本当の話があります。


話は戻りますが、米軍も上がそう決めたからハイそうですか、とならないのは「アメリカっぽさ」があり、本や記事では読めない現場の「リアルな」声が知れたのも新鮮でした。
もしかしたらこういうことがあるからこそ、陸軍や空軍はOCPとしてカラーを統一しようとしたのかもしれませんね。
【この記事を書いた人】

今井浩介(いまい こうすけ)
1984年生まれ

・徳島大学大学院 先端技術科学教育部卒業
紫外線を使った医療用殺菌機器の光学研究開発と3Dの設計開発に携わる。
現在は独立してドローンを使った映像撮影・調査を行うスカイアイジャパン代表

その他経歴など
・田村装備開発株式会社 ミリブロNews、ドローン担当
・グリーンフロント研究所株式会社 UAV新技術開発室長
・株式会社アイディアミックス 英会話・英文法 関連書籍の執筆アシスタント
・DJI スペシャリスト



元自衛官・警察官・PSCのYoutubeチャンネル『ガチタマTV』

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