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兵力10万人削減、緊縮財政を背景に米国の国防戦略が発表に

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兵力10万人削減、緊縮財政を背景に米国の国防戦略が発表にLeon E.Panetta 米国防長官は、FY2013 国防予算の概要についてまとめた文書 "Defense Budget Priorities and Choices" を発表した。ベース予算が総額 5,250 億ドル (FY2012 は 5,310 億ドル)、OCO (Overseas Contingency Operations) 予算が 884 億ドル (FY2012 は 1,150 億ドル)。重点を置く戦域は中央軍 (UCENTCOM : US Central Command) と太平洋軍 (USPACOM : US Pacific Command)。

支出削減については、今後 5 年間で 2,590 億ドル (約20兆円)、10 年間で 4,870 億ドル (約38兆円)。
陸軍は 562,000 名体制から 490,000 名体制に、海兵隊は 202,000 名体制から 182,000 名体制とする。陸軍 と 海兵隊 で、計 10万人の兵力が削減されることになる。
(Photo from U.S. Navy. Image is for illustration purposes only. Text and photo are not directly related.)

このほか、特殊作戦部隊や UAV の増強、陸軍の旅団戦闘団に対する言語訓練といった施策を講じるとしている。国防長官や、米空軍参謀総長の Norton A. Schwartz 大将は「空軍では今後 5 年間で 10,000 名の規模縮小を実施する。規模は小さくなるが、新たな課題に対処するための再編成を進めて、有効性は維持する」と説明。

兵力10万人削減、緊縮財政を背景に米国の国防戦略が発表に兵力10万人削減、緊縮財政を背景に米国の国防戦略が発表に
米国の緊縮財政を背景に、過去に退役が検討された 米海軍 原子力空母 ジョージ・ワシントン USS George Washington (CVN-73) と、米海軍がシンガポールなど太平洋に配備計画中の次世代型 LCS (Littoral Combat Ship:沿岸海域戦闘艦) インディペンデンス (USS Independence, LCS-2)
Photo from U.S. Navy (Left), General Dynamics (Right).
KC-46A や F-35 はスローダウンはするが、計画は維持する。空母は 11 隻体制を維持。シンガポールに LCS (Littoral Combat Ship) を配備するほか、バーレーンに哨戒艦を配備する。LCS 用ミッション モジュールの開発も継続する。通常弾頭型 Trident の開発にも予算をつける。低伸弾道をとることで、核弾頭装備ミサイルとの識別を可能にするとの説明。

BRAC (Base Realignments And Closures) と同様の基地施設閉鎖・再編成を推進する (2013 年と 2015 年の二次にわたって実施する、との話もある)。海外基地施設については、太平洋地域の陸軍と海兵隊は現状維持、中東は「プレゼンスを維持する」と説明。ヨーロッパでは、陸軍の 2 個重旅団戦闘団 (HBCT : Heavy Brigate Combat Team) を撤収してローテーション展開に切り替える。このほか、新たに洋上前方集結基地実現のために予算をつける。

なお、政府の債務削減に関して上下両院の合意がまとまらなければ、さらに支出削減が発生する可能性があるとして、上院軍事委員会 (HASC : House Armed Services Committee) の Adam Smith 議員 (R-WA) が懸念を表明。Todd Akin 下院議員 (R-MO) は雇用面への影響を懸念。下院軍事委員会の Buck McKeon 議員 (R-CA) や、上院軍事委員会 (SASC : Senate Armed Services Committee) の John McCain 上院議員 (R-AZ) は、今回の予算削減提案による安全保障上のリスクを懸念している。

AFPS 2012/1/26-27
VOA 2012/1/26
DefenseNews 2012/1/26
SpaceWar 2012/1/26


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