中国遼寧省瀋陽にある飛行機製造会社 "Shenyang Aircraft Corporation" (瀋陽飛機工業集団) の飛行場で、先週末 9/15-16 に掛けて、中国軍の新型機と思われる戦闘機の姿が撮影され、ネット上に掲載された。外観上は米国 Lockheed Martin F-22 Raptor や F-35 JSF (Joint Strike Fighter : 統合打撃戦闘機) と似ているが、F-35 と違って双発機。機体に "31001" とマーキングされたこの新しい戦闘機は "J-21" と識別用に名付けられ、今から 2年弱前 に姿を現した Chengdu Aircraft Industry Group (CAC : 成都飛機工業公司) "Chengdu J-20" (殲撃20型) とのライバル関係による対抗などとも言われている模様。呼称については中国軍事サイトで、J-21 の他に、"J-31"、"F-60" といったものまで様々。
海外では早速、写真からの判断との断りの中で、航空専門家らからの声が挙げられている。大型でカナード翼を持つ J-20 と比較して、J-21 は機体が小さく、カナード翼を持っていないことからも、RCS (Radar Cross Section：レーダー反射断面積) の低下を実現していると予想され、STOVL (Short Take Off and Vertical Landing : 短距離垂直離着陸) への適応は無いものの、空母艦載機に適した幾つかの特徴が垣間見れる、としている。それらの理由から専門家らは、航空優勢を狙った戦闘機として位置付けたものとみている。
その他、軍事フォーラムでは、「新幹線すらまともに走らせる技術を持たない中国が、真っ当な戦闘力を持ったステルス戦闘機の開発が本当にできるのか？」といった疑問の声も挙げられている。また、米国の外交・安全保障を専門とした Foreign Policy 誌 9月号で「日中海戦」というセンセーショナルなテーマが取り上げられた中で、戦況がシミュレーションされ、現状では米軍参戦無しの自衛隊単独で「日本の圧勝」が結論付けられた。その中で、「閉鎖的な共産主義の下では、西側諸国の多くの民主主義国家と比べても、重大な欠陥が隠蔽される傾向が高い」と指摘され、中国軍の「戦力の質」について疑問を呈した格好となっている。
J-20 の初飛行が大々的に報じられたのは、Robert Gates 前米国防長官の中国訪問時を狙ったタイミングであった。ここ最近、沖縄県にある尖閣諸島の日本国有化に端を発した、中国の日本への内政干渉と、侵略行為から過激化の一途を辿る中国各地での反日運動。今回の写真流出は、タイミング的にもそれらとの関連性を指摘する声も挙げられている。

Flightglobal 2012/09/17
Armed Forces International News 2012/09/17
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