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進化する米軍の近接航空支援「PCAS」

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進化する米軍の近接航空支援「PCAS」
現在、イラク・アフガン地域で活動するアメリカ軍にとって、近接航空支援(Close Air Support・・・CAS)は、なくてはならないものである。近接航空支援とは、地上部隊の要請により、航空機が敵の真上/直近に爆弾を落として攻撃し、地上軍を支援する戦法である。しかし、航空機と地上部隊の緊密な連携が必要なため、非常に困難で危険な戦法でもある。

現行の近接航空支援は、パイロットやCCT、JTACが空爆対象を1つ選定し、その対象に対し、無線や地図を使って航空機を誘導し空爆を実行している。

最新技術の粋を集めたアメリカ軍にしては非常に原始的な方法で、効率的な戦法とはいえない。実際に、空爆地点の座標の「言い間違い・聞き間違い」による誤爆も頻発しているし、空爆目標を設定して航空機がやってくるまでに少なくとも1時間近くかかるため、敵が撤退してしまったり、航空機を待ちかまえて反撃を受けることすらある。
このような状況を解決するため、アメリカ国防高等研究計画局(DARPA)は、継続近接航空支援(Persistent Close Air Support・・・PCAS)プログラムを提案し、さまざまな実験を行っている。PCASにより、近接航空支援の無理・無駄・ムラをなくすことが可能となる。

PCASは、PCASエアとPCASグランドの2つの機器を使用する。PCASグランドは、専用の状況認識(situational awareness)およびマッピングソフトが一般のアンドロイドタブレットコンピュータに内蔵されている。

地上戦闘員(CCT/JTAC)はPCASグランドでを使ってパイロットのPCASエアと通信する。近くを飛行するすべての航空機に通信することができるため、最も近くを飛行し、最も適切な武器を装備した航空機を要請することができる。

CCT/JTACは目標付近に到着した航空機のデータを参照し、またパイロットは、地上の攻撃目標のデータを参照することができる。そのため、そのとき装備している武器で最も適切な武器と使用量を選択し、誤爆の危険性と付随的損害(collateral damage)を最小限にする爆弾や攻撃手段(機銃掃射など)を選択することができる。これらは、すべてリアルタイムに行うことができる。

2015年5月、国防高等研究計画局は、PCASとA10Cサンダーボルトを使った空爆実験を行い成功を収めた。また、2015年5月には、海兵隊のオスプレイを使った試験も行われ、こちらも成功した。条件が整えば、空爆要請から実行まで、最短6分という記録もあるという。まさに次世代の空爆システムが完成しつつある。

DARPAtv 2015/09/14
Text: 友清仁 - FM201509

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