サバゲーで活躍間違い無し!ガンショップFIRSTの静穏化ソーコム Mk23「影縫」カスタム
東京マルイの「ソーコム Mk23」は信頼性の高い固定スライドメカによって、多くのサバイバルゲーマー達に愛されたロングセラーである。そのソーコムをベースとしたカスタムガンがガンショップFIRSTの「影縫(かげぬい)」だ。今回はFIRSTにお邪魔して詳しくお話を伺った。
取材協力:ガンショップ FIRST
http://www.first-jp.com/
ハンドガンが指揮官や通信兵、砲兵など、直接戦闘に参加しない兵士の護身用の武器から、攻撃的な性質を強く帯びるようになったのは90年代、いわゆる対テロ作戦が注目されはじめたころだ。隠しやすく狭い場所で扱いやすいハンドガンに、メインウェポンとしても使える性能をもたせようという意見が特殊部隊の中から出始めたのである。
90年代の「対テロ特殊部隊によるCQB」をよく表したH&K社のイメージ画像。
■実銃SOCOM Mk.23ピストル開発ヒストリー
89年に開始されたOHWS(訳:攻撃的ハンドガンウェポンシステム)開発プロジェクトでは、当時ストッピングパワーに優れると考えられていた.45口径の強装弾を10発以上装填できること、数万発の発射に耐え、高温・低温・海水中など過酷な環境でも腐食しないこと。そしてもちろん高い命中精度を持った設計であること……などこれ以上ない水準の性能が要求された。
さらに任務に合わせて機能を組み替えられる柔軟なシステムであることもまた求められた。アメリカ軍特殊作戦司令部SOCOM創立時、ガス・テイラー少佐が行った調査によれば全特殊部隊で使用されていた火器は合わせて120種類。これらを統一して補給の手間を省く必要があった。また、必須の火器であるハンドガンを統一することで、文化のまるで違う各軍の特殊部隊間のミゾを埋めようというのもプロジェクトの目的であったと言われる。
H&K社のMk.23は、そうした「攻撃用ハンドガン」の嚆矢(こうし)である。当時既に開発がスタートしていたUSPを大型化し、徹底的な腐食対策が行われた。また「システム」の中心部品として、LAM(レーザーサイト)ユニットとサイレンサーを容易に組み替えることができる設計となっていいた。
リコイルスプリング部分はスライドを戻すバネと反動を和らげるバネが分けられており、これによって発射時のリコイルはかなり低減されたという。
Mk.23はその後、政治的な事情から軍で広く使用されることはなかったようだ。しかしH&K社のUSPはその後、同社のハンドガンすべての基礎となり、多くの軍・警察が採用するベストセラーモデルとなっている。
■東京マルイ製SOCOM Mk.23の静粛性を高めたFIRSTカスタム「影縫」
さて、このMk.23を元ネタとする東京マルイの「ソーコム Mk23」は見た目はもちろん「攻撃的なハンドガン」という実銃の特徴をも模したといえるモデルだ。Mk.23の試作品にはいくつかの世代があり、それらをミックスした外見となっている。動作部分の少ない固定スライドメカと大型サイレンサーの相乗効果によって静穏性が高められている。単体ではもちろんカービンキットなどに組み込まれて使われている姿もまたよく見かける。
そのソーコムをベースに、さらに静穏性を高めたカスタムがガンショップFIRSTの「影縫(かげぬい)」だ。「影縫」はFIRSTのカスタムガンラインアップの中でも歴史の長いロングセラーモデルである。ハイサイクルガンが流行する中、その銃声に紛れて濃いブッシュから射撃するというのがコンセプトであった。静穏化する一方で初速を落とさず、そして社外パーツではなくノーマルパーツを使用することで整備性も高めた、ゲーマー向けのカスタムである。
「影縫(かげぬい)」を作り出した東大阪のガンショップFIRST。ここで手作業による生産が行われている。
こちらが「影縫」とノーマルのソーコム。外見からは見分けることができない。
パーツ全図。内部もすべてノーマルパーツを使用。サプレッサーの内部はLayLaxの吸音材「ノイズリミッター」に交換されている。
「音が出そうなところはとにかく全部」加工が入っている。ロットによってノーマルパーツもバラツキがあるそうで、加工時に問題がありそうなものは交換しているとのこと。
ソーコムの静音化の要となるのは弾がバレルを出る時の破裂音、そしてメカでは金属のパーツ同士が擦れる音、ハンマーやバルブノッカーの打撃音である。これを防ぐためにあらゆる接触部分は研磨され、打撃を受ける部分にはラバーが貼られている。
すべて手作業だが作業レシピがあり何度もマイナーチェンジが行われているため品質のバラツキは抑えられているとのこと。文字で書くのは簡単だが、加工箇所は非常に多くシビアである。
他にも、例えば潤滑剤ひとつで音量は変化する。貼り付けるラバーも部位によって複数の種類のものを使い分けており、中には髪の毛ほどの細さのラバーを貼り付けている部位もある。「同じ加工は可能だと思うので、是非挑戦してみてください」とのことだが、初速や耐久性に影響を与えずここまで細かい加工をするのは難しい。
なお、ファーストではLAMのLEDを高輝度化するカスタムも行っている。
左側が高輝度LEDに換装したもの。光量はこの通りかなり変化がある。
実射してみた。見た目はそっくりながら発射音や操作感はまったく違う。トリガーは擦れる音がしないように対策され、引き絞ってから落ちるまでも重さはノーマルと同等ながらザラザラ感が少なくスムーズだった。
撃たれる方は大変である。距離が遠いと発砲音が聞こえにくくなるのは当然として、近い場合も大変だ。ベニヤ板やドラム缶に撃たれると、反射音と発砲音が混ざってしまって方向が分かりづらくなる。
「影縫」は東京マルイからソーコムが再販される度に生産される定番モデルだが「出すだけ売れてしまう」勢いという。持ち込み加工も受け付けており納期は1週間ほどとのこと。価格はコンプリートが¥21,519、本体持込で¥13,608(いずれも税別)となっている。
製作部門では、ソーコムに限らずその他の銃に関して細かいカスタムも受け付けている。メニューにないことでも、まずはできるかどうか店頭で店員さんに相談してみて欲しい。
ソーコム Mk.23は元々よく飛んでよく当たるサバイバルゲーマーの頼もしい武器として知られているが「影縫」はその魅力をさらに引き出したモデルであるといえる。「これ以上静かにすることってできますか?」と聞いてみたところニコニコしながら「さあ、どうでしょう」とのことだった。もう一段、進化した「影縫」を見るのが楽しみである。
Photo & Text: Chaka (@dna_chaka)
90年代の「対テロ特殊部隊によるCQB」をよく表したH&K社のイメージ画像。
Photo from H&K USA
■実銃SOCOM Mk.23ピストル開発ヒストリー
89年に開始されたOHWS(訳:攻撃的ハンドガンウェポンシステム)開発プロジェクトでは、当時ストッピングパワーに優れると考えられていた.45口径の強装弾を10発以上装填できること、数万発の発射に耐え、高温・低温・海水中など過酷な環境でも腐食しないこと。そしてもちろん高い命中精度を持った設計であること……などこれ以上ない水準の性能が要求された。
さらに任務に合わせて機能を組み替えられる柔軟なシステムであることもまた求められた。アメリカ軍特殊作戦司令部SOCOM創立時、ガス・テイラー少佐が行った調査によれば全特殊部隊で使用されていた火器は合わせて120種類。これらを統一して補給の手間を省く必要があった。また、必須の火器であるハンドガンを統一することで、文化のまるで違う各軍の特殊部隊間のミゾを埋めようというのもプロジェクトの目的であったと言われる。
H&K社のMk.23は、そうした「攻撃用ハンドガン」の嚆矢(こうし)である。当時既に開発がスタートしていたUSPを大型化し、徹底的な腐食対策が行われた。また「システム」の中心部品として、LAM(レーザーサイト)ユニットとサイレンサーを容易に組み替えることができる設計となっていいた。
リコイルスプリング部分はスライドを戻すバネと反動を和らげるバネが分けられており、これによって発射時のリコイルはかなり低減されたという。
Photo from H&K USA
Mk.23はその後、政治的な事情から軍で広く使用されることはなかったようだ。しかしH&K社のUSPはその後、同社のハンドガンすべての基礎となり、多くの軍・警察が採用するベストセラーモデルとなっている。
■東京マルイ製SOCOM Mk.23の静粛性を高めたFIRSTカスタム「影縫」
さて、このMk.23を元ネタとする東京マルイの「ソーコム Mk23」は見た目はもちろん「攻撃的なハンドガン」という実銃の特徴をも模したといえるモデルだ。Mk.23の試作品にはいくつかの世代があり、それらをミックスした外見となっている。動作部分の少ない固定スライドメカと大型サイレンサーの相乗効果によって静穏性が高められている。単体ではもちろんカービンキットなどに組み込まれて使われている姿もまたよく見かける。
そのソーコムをベースに、さらに静穏性を高めたカスタムがガンショップFIRSTの「影縫(かげぬい)」だ。「影縫」はFIRSTのカスタムガンラインアップの中でも歴史の長いロングセラーモデルである。ハイサイクルガンが流行する中、その銃声に紛れて濃いブッシュから射撃するというのがコンセプトであった。静穏化する一方で初速を落とさず、そして社外パーツではなくノーマルパーツを使用することで整備性も高めた、ゲーマー向けのカスタムである。
「影縫(かげぬい)」を作り出した東大阪のガンショップFIRST。ここで手作業による生産が行われている。
こちらが「影縫」とノーマルのソーコム。外見からは見分けることができない。
パーツ全図。内部もすべてノーマルパーツを使用。サプレッサーの内部はLayLaxの吸音材「ノイズリミッター」に交換されている。
「音が出そうなところはとにかく全部」加工が入っている。ロットによってノーマルパーツもバラツキがあるそうで、加工時に問題がありそうなものは交換しているとのこと。
ソーコムの静音化の要となるのは弾がバレルを出る時の破裂音、そしてメカでは金属のパーツ同士が擦れる音、ハンマーやバルブノッカーの打撃音である。これを防ぐためにあらゆる接触部分は研磨され、打撃を受ける部分にはラバーが貼られている。
すべて手作業だが作業レシピがあり何度もマイナーチェンジが行われているため品質のバラツキは抑えられているとのこと。文字で書くのは簡単だが、加工箇所は非常に多くシビアである。
他にも、例えば潤滑剤ひとつで音量は変化する。貼り付けるラバーも部位によって複数の種類のものを使い分けており、中には髪の毛ほどの細さのラバーを貼り付けている部位もある。「同じ加工は可能だと思うので、是非挑戦してみてください」とのことだが、初速や耐久性に影響を与えずここまで細かい加工をするのは難しい。
なお、ファーストではLAMのLEDを高輝度化するカスタムも行っている。
左側が高輝度LEDに換装したもの。光量はこの通りかなり変化がある。
実射してみた。見た目はそっくりながら発射音や操作感はまったく違う。トリガーは擦れる音がしないように対策され、引き絞ってから落ちるまでも重さはノーマルと同等ながらザラザラ感が少なくスムーズだった。
撃たれる方は大変である。距離が遠いと発砲音が聞こえにくくなるのは当然として、近い場合も大変だ。ベニヤ板やドラム缶に撃たれると、反射音と発砲音が混ざってしまって方向が分かりづらくなる。
「影縫」は東京マルイからソーコムが再販される度に生産される定番モデルだが「出すだけ売れてしまう」勢いという。持ち込み加工も受け付けており納期は1週間ほどとのこと。価格はコンプリートが¥21,519、本体持込で¥13,608(いずれも税別)となっている。
製作部門では、ソーコムに限らずその他の銃に関して細かいカスタムも受け付けている。メニューにないことでも、まずはできるかどうか店頭で店員さんに相談してみて欲しい。
ソーコム Mk.23は元々よく飛んでよく当たるサバイバルゲーマーの頼もしい武器として知られているが「影縫」はその魅力をさらに引き出したモデルであるといえる。「これ以上静かにすることってできますか?」と聞いてみたところニコニコしながら「さあ、どうでしょう」とのことだった。もう一段、進化した「影縫」を見るのが楽しみである。
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http://honten_blog.first-jp.com/
〒577-0012 大阪府東大阪市長田東5-1-3
フリーダイヤル 0120-969-946
TEL 06-6745-3331 FAX 06-6743-2381
営業時間/12:00~22:00 定休日/毎月第3木曜日
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〒110-0005 東京都台東区上野6-3-15 大場ビル2F・3F
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http://nippombashiten.first-jp.com/
〒556-0005 大阪府大阪市浪速区日本橋3-6-5
堺筋道路沿い高島屋別館の向い
TEL 06-6630-9755
営業時間/11:00~20:00 定休日/毎週木曜日
■インドアサバイバルゲームフィールド【W-tap】
http://wtap.first-jp.com/
〒577-0012 大阪府東大阪市長田東5-1-31
TEL 06-6732-4768 FAX 06-6732-4708
営業時間/12:00~22:00 定休日/毎月第3木曜日
Photo & Text: Chaka (@dna_chaka)
Chaka (@dna_chaka)
世界の様々な出来事を追いかけるニュースサイト「Daily News Agency」の編集長。
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