米軍制式小銃のすべて「M16ライフル (THE M16:Osprey Weapon Series)」
Photo: Namiki Shobo
1958年、新型の5.56mm口径ライフルが発表された。プラスチックとアルミニウムで作られた斬新なM16ライフルは、以後60年間、数多くの改良が重ねられ、M4カービンに発展し、現在に至っている。同時に、これまで制式化された小火器の中で最も意見の分かれる銃として、その信頼性と性能をめぐる論争に悩まされてきた。
ベトナム戦争に従軍した米陸軍特殊部隊グリーンベレーの元隊員で、兵器専門家である著者がM16ライフルの多難な開発史を詳細に分析し、戦場で実際に使用した将兵の体験を総括する。銃器研究の世界的権威、床井雅美氏の監訳によるM16ライフルのすべて!
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監訳者のことば
本書は、ひと言で述べれば、アメリカの陸軍、空軍、海兵隊および海軍が制式小銃として選定・採用したAR-15(M16)ライフルの誕生から現在に至るまでの発展の過程をたどった年譜と言えよう。
とくに私が興味をひかれたのが著者の経歴だった。ゴードン・ロッドマン氏は、アメリカ陸軍特殊部隊「グリーンベレー」の兵器担当要員としてベトナムに派遣されて従軍し、自身が褒貶相半ばするAR-15(M16)ライフルの現実を現場で経験している。この点で本書は独自の視点から解説していると言えるだろう。
ベトナム戦争中、AR-15(M16)ライフルは、その性能について高く評価される一方で、多くの批判にさらされた。本書にはベトナムの戦場で使用者である兵士の目から見たAR-15(M16)ライフルに対する証言が数多く紹介されている。ここには外部の人々にはわからない真実のAR-15(M16)ライフルの姿がある。私自身も読んでいてなるほどと思う記述が随所にあり、興味はつきなかった。
ベトナム戦争中に採用されたAR-15(M16)ライフルは、その後、数多くの改良が加えられて改良型のM4カービンに発展し、現在もアメリカ軍の第一線部隊の主要装備品として使用され続けている。
その間のAR-15(M16)ライフル改良に関して、本書は時系列に詳述している。
私が本書をAR-15(M16)ライフルの年譜とする理由がここにある。AR-15(M16)ライフルに興味をもつ人々や研究者にとって本書は便利な資料として活用できる。
私はかつてアメリカのワシントンDCにあるスミソニアン博物館で研究をしていた時期にAR-15(M16)ライフルの開発者のユージン・ストーナー氏と面談する機会があった。その時の話で今も鮮明に記憶していることがある。
AR-15(M16)ライフルの改良で彼が承服できないことのひとつに陸軍の手によってボルト・フォワード・アシストが追加されたことだった。ストーナー氏の説明によると、弾薬が正常にバレルの薬室に送り込まれない場合、弾薬が送り込まれない何らかの原因がある。それを究明せずに、外圧を加えて弾薬を無理矢理にバレルの薬室に送り込むことは、決して奨励される行為ではなく、さらに重大な故障や事故を招くことになるというものだった。AR-15(M16)ライフルの開発者自身の証言だけに強い説得力がある。
本書は開発者側ではなく実際にこのライフルに命を預けた元兵士によって書かれており、立場を異にした使用者側から見たAR-15(M16)ライフルに関する多くの示唆を含んでいる。床井雅美
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