「CoDゲームでハンヴィーが無断使用された」AMゼネラル社が「商標権」侵害でアクティヴィジョン社を提訴

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「CoDゲームでハンヴィーが無断使用された」AMゼネラル社が「商標権」侵害でアクティヴィジョン社を提訴
A screenshot from Call of Duty: Modern Warfare 2
軍用ワークホース車輌として世界で最もポピュラーな「ハンヴィー(Humvee)」の製造を手掛けている米国のAMゼネラル社(AM General LLC)が、同じく米国の大手ゲームソフト開発・販売企業である「アクティビジョン社(Activision Blizzard Inc)」を相手に、世界的ヒットタイトル「コールオブデューティー」シリーズにおいて、ハンヴィーの『商標権(trademarks)』および『トレードドレス(trade dress)』権が無断で使用され、侵害されていたとして、訴えを起こしていたことが分かった。
トレードドレスでは、米国の商標法における製品・サービスでの顕著で特徴的な外観、デザイン、形状までも対象として、その法的保護が掲げられている。

ロイター通信によると、7日夜、AMゼネラルがマンハッタンにあるニューヨーク州南部地区連邦地方裁判所に提出した訴状(No. 17-08644)の中で、「『Humvee』および『HMMWV』のマークが、許可なく不当にコールオブデューティーシリーズのゲーム内や、その関連書籍および玩具などで、著しく特徴付けられて使用されていた」として非難している。

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「CoDゲームでハンヴィーが無断使用された」AMゼネラル社が「商標権」侵害でアクティヴィジョン社を提訴
U.S. Air Force photo by Staff Sgt. Jamal D. Sutter/Released
This photo is for illustration purposes only.
「Humvee」および「HMMWV」は、『High Mobility Multipurpose Wheeled Vehicles』つまり『高機動多用途装輪車両』を短く表したもの。ハンヴィーは1970年代後半に、米軍の「M561ガマ・ゴート」と「M151ジープ」を代替するためにAMゼネラル社によって開発され、1985年から量産が始まり、兵士らを乗せてこれまでに世界の戦地を走ってきた。兵員の輸送目的に限らず、救護型や対戦車武装をはじめとした各種の武装を搭載したモデルなど、バリエーションモデルも多く展開している。AMゼネラルによると、ハンヴィーはこれまでに、278,000輌以上が製造されているという。

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ハンビーは、イラク侵攻時時、サダム・フセイン政権軍との戦いで有用な車輌であった一方で、軽量で装甲の薄かったことから、市街地・郊外でのパトロールの際に仕掛けられた強力な路傍爆弾に対しての脆弱性が浮き彫りになっていた。
「CoDゲームでハンヴィーが無断使用された」AMゼネラル社が「商標権」侵害でアクティヴィジョン社を提訴
Photo: Joint Light Tactical Vehicle (JLTV)
事態を重く見た国防総省は、こうした危険地帯の通過において、軽量で機動力の高いハンビーから、より装甲の厚い車輌を希求し、耐爆設計に優れた「耐地雷・伏撃防護車両(MRAP: Mine Resistant Ambush Protected)」の開発を求めるようになる。しかしMRAPの導入は、その重装甲と引き換えに、ハンビーの持っていた高い機動性を失わせることになってしまう。こうした経緯の中から、ハンビーの高い機動性とMRAPの高い防御力を併せ持った「統合軽戦術車輌(JLTV: Joint Light Tactical Vehicle)」と呼ばれる新しい車輌の開発が進められた。
その後2015年8月、ウィスコンシン州に拠点を置く「オシュコシュ・ディフェンス社(Oshkosh Defense, LLC)が、陸軍の戦闘車輌軍備司令部・生涯過程管理司令部(TACOM LCMC: Tank Automotive and Armaments Command Life Cycle Management Command)」から67億ドル(=約8,040億円)におよぶその製造契約の獲得を発表している。

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一方のアクティヴィジョン「コールオブデューティー」については、昨年における世界最大のコンソール向けビデオゲームソフト(家庭用ゲーム機向けソフト)であり、8年連続で北米最大のタイトルを記録しているミリタリーFPS(一人称シューティング)ゲーム。2003年のフランチャイズ以降、昨年度までに2億5,000万本、150億ドル(=約1兆6,950億円)を売り上げたというモンスタータイトル。

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AMゼネラルは「彼らのビジネスでの成功は、『我が社』と『内情を知らない消費者』によってできたものだ」「多くの消費者はAMゼネラルが何らかの形でゲーム製作に寄与しているものだと信じているのだろう」と語り、無断で利用されたと主張。1年以上の話し合いの場を設けて交渉が決裂した後に、「三倍額賠償(triple damages)」を求めている。

ゲーム専門メディアの「PCゲーマー」によると、「AMゼネラルのハンヴィーは、『ハンヴィー・アサルト』『デルタフォース:ブラックホークダウン』『オペレーション・フラッシュポイント:レッドリバー』『ホームフロント』などでライセンス契約を交わしている」とのこと。

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