特集:カプコン「Black Command」第4回~開発者&田村装備開発によるプレイレポート座談会

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特集:カプコン「Black Command」第4回~開発者&田村装備開発によるプレイレポート座談会
ミリブロ監修によるカプコンの新作スマホゲーム「Black Command」が、いよいよ本日ダウンロード開始となった。リアルな戦闘と民間軍事会社の経営をシンプルな操作で遊ぶことができる、というのがウリであるが、ホンモノの元特殊部隊隊員、インストラクターはどのように感じるだろうか?「Black Command」産みの親であり「バイオハザード7」では開発総責任者をつとめたカプコンの竹内潤氏と共に、田村装備開発に取材に向かった。

出席者プロフィール(敬称略):
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竹内潤(Jun Takeuchi)
株式会社カプコン常務執行役員、CS第一開発統括。
少年時代からのテッポー好きが高じて、現在も社内レクリエーション活動でおこなわれている月1回の定例サバゲー会にも精力的に参加している。

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田村忠嗣(Tadashi Tamura)
田村装備開発株式会社代表取締役。元埼玉県警察 警備部 RATS 所属。
オリジナル装備の開発・販売、自衛官・警察官などプロに向けた各種講習会の開催、サバイバルゲームフィールド「T-MOUT」の運営などを手掛けている。

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長田賢治(Kenji Nagata)
田村装備開発株式会社訓練教育部部長。元陸上自衛隊特殊作戦群所属。
講習会では熱血トークと裏腹に、時に笑いも織り交ぜながら、分かり易い解説がおこなわれ人気を博している。


ミリタリーブログ:
皆様、本日はお時間いただきましてありがとうございます。

竹内:
早速ですが「Black Command」のテストプレイをされてみて如何だったでしょうか。

田村:
ちょっとした時間で遊べちゃうからついついゲームを立ち上げてしまいますね。なのでゲーム内レベルもかなり上がってしまいました(笑)

竹内:
おぉー、それはそれは、ありがとうございます!作り手冥利につきます!

ミリタリーブログ:
田村さん、ちなみに普段はこうしたゲームで遊ばれたりするのですか?

田村:
ええ、やりますよ!
現役の時は訓練が終わってから徹夜でゲームやって、そのまま次の日の訓練に出るってこともありました。
実はこの道に入ることになったのもゲーム。「バイオハザード1」をやって、特殊部隊っていうものがあるのを知りました。それから「踊る大捜査線」でSATを見たのが警察に入るきっかけです。
それまでは料理人になろうと思っていたので、「バイオハザード」がなかったら今頃はコックさんになっていたかもしれませんね!(笑)

竹内:
「バイオハザード1」は私にとっても思い入れの深いゲームなので、それが田村さんの人生に影響を与えた……というのは身が引き締まる思いです。今回の「Black Command」は本職の目線でご覧になって如何でしょうか?

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長田:
自衛隊で「バトラー」という模擬戦システムがあるのですが、あれに似ていると感じました。マップとその上の部隊の配置だけを見て戦うというのも、実際の指揮官の状況と同じでリアルだと思います。

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ミリタリーブログ:
お二人は、ゲームでどんな戦い方をされましたか?また、実際の作戦行動と比べて如何でしょうか?

田村:
サブマシンガンを装備して隠密行動をするのが好きですね。射程は短いんですけど視界が広いのと、あと他の武器と比べて警戒移動の時に敵に見つかりにくくなる。まずまっすぐ敵に向かって移動。敵のそばまで行ったら警戒移動で迂回して「待機」でタイミングをとります。そして後ろを向いた瞬間に奇襲!作戦時間が短く済んで、弾丸の使用量も少ない。でも近接航空支援で一気にボン!も気持ちいいですね(笑)

長田:
私の場合、情報小隊出身だから……というのもあるんですが、スタートしたらまずじっくり敵の配置とその巡察経路を観察して、空白地帯から入っていきます。ミッションによって緊要なポイントというのは変わってくるので、残り時間や弾薬を考慮しつつこれをどうクリアするか?みたいな詰め将棋みたいな感じで遊んでます。

田村:
任務の内容はよく考えたほうがいいですよね。敵の撃破にこだわらなくてもいい。自分の火力・機動力・隠密性によって作戦は変わってくる。

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竹内:
遊び方に出身部隊の違いがはっきり出ているのが面白いですね。

田村:
あとフィールドにあるものをよく見て、迫撃砲や軽装甲車両みたいな強力な支援武器は優先的に使っていくのがいいかな。でも敵が使ってくる砲はイラっとしますね(笑)

長田:
偵察でも敵の障害の位置、部隊のサイズなどに並んで砲迫の位置はまず掴むべき情報になっています。砲兵は動きが遅いのが弱点と昔は言われていましたが、現代の砲兵は撃ったらすぐ移動してしまうので継続的な監視も必要です。

田村:
実際、ゲームでがんばって育てた隊員が迫撃砲で吹き飛ばされてしまって……それ以来、銃撃戦になっても簡単に戦死させないよう、大事な隊員にはアーマーを着せるなど気を使っていました。

ミリタリーブログ:
田村さんのプレイエピソードをお聞きしていると、無料プレイの枠を超えて、結構課金されました?

田村:
ええ、そうなんですよ、戦闘となると、負けるわけにはいきませんから(笑)
最初は何もせずに遊んでましたけど、弾切れになったり支援アイテムが足りなくなると思いっきり戦えなくなるので、課金したほうががよいと思うようになりました。あと低コストで戦うように色々考えるので、うまく敵をかわしたり奇襲したり、そういう戦術を見つけていく楽しみもあると思います。奇襲はうまくタイミングを取らないと失敗しますが、そういう難しいところも面白い。

竹内:
「Black Command」は最初、「カードゲーム」として作ろうと考えていたんですけど、こういうのはゲームならではのアクション性ですね。やはり自分で操作して、自分で決めるのに楽しさがある。

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田村:
細かい戦闘ログも残るのでちゃんと見てますよ。装備や編成の参考になる。

ミリタリーブログ:
開発当初はとにかく「リアル」に、という方針だったので、ものすごく細かいところまでチームの行動を決められたり、無線の会話も実際の軍での手順に合わせて符丁やコードだらけだったのですが、さすがにゲームとしてのエンターテインメント性が失われるとの理由で現在の形になりました。

竹内:
ゲーム内のウソといえば、プレイ画面である俯瞰(ふかん)マップで大方の敵が見えてしまっている、という部分がフィクションなんですけど、これがないとプレイヤーはただ殺されるだけになってしまうので……。

長田:
いいバランスになっていると思います。行動中に隊員がちょくちょく「なるほど。そうするのか」とか返事してくれたりするんで「お前よく分かってるな」と(笑)

竹内:
ガチガチにリアルにすると分かりにくくなって不親切なんですが、かといって単純に分かりやすくしてもなんだかウソっぽいというか戦場の雰囲気が出ないので、そういう「分かってる感」をうまく出す工夫は色々なところでやっています。最初のチュートリアルで罵倒されたりするのもそう(笑)

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田村:
あれリアルですよ。最初は名前が「豚野郎」になったりとか。新入隊員に人権なんかない(笑)
今ならマスコミに突かれて問題になるかもしませんけど。

ミリタリーブログ:
リアルさといえば「Black Command」では、戦闘パートと会社経営パートの2つがメインになっています。戦闘パートはかなりリアル、ということですが会社経営パートはどうでしょう。
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長田:
民間軍事会社の「お金がすべて」というところはよく雰囲気出ていますね。国の軍隊だと「下命されたらなんとしても達成する。それが自分の任務」というマインドセットなんですけど、お金だけが大事、みたいな人が集まってきているドライな感じがそれっぽい。隊員のプロフィールも「元殺し屋」とか「ニート」とかがいて、ガチガチの兵士じゃない。

竹内:
現実のプレイヤーは一般人なので「任務」っていうのはちょっと分かりにくいと思ったんです。例えば、ショッピングモールがゾンビに囲まれたら、家族を連れてとにかく逃げよう、というのが普通で「みんなを守って戦おう」という使命感の人は少ない。じゃあ「お金」でつながっていることがよく分かるようにしよう、と。

田村:
ゲーム内でメンバーを雇ったりスキルをつけたりという部分の遊び方は、実際の会社経営と比べてもリアルだなと。ゲーム開始のうちは隊員はそんなに強くないし、特殊なスキルもないので死んだら入れ替えるという運用になります。サポートアイテムを使えば死ににくくなりますが、それに対して入れ替えのほうがコストが低いので。

でも、強くなってくるとそうではない。強い隊員がいれば戦闘も短く済んで、このゲームで一番大事な時間と弾が節約できます。なのでボディアーマーや支援攻撃といった高価な装備やアイテムを使っても、結局低コストになる。それが「Black Command」での効率のいい人の雇い方かなと。
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長田:
おかしいな、私も同じゲームをやっているはずなんですが……そんな米軍なんかの特殊部隊みたいな運用もしてたんですか!社長、かなりやり込んでいたんですね!

ミリタリーブログ:
装備といえば、ゲーム中でオススメの銃や、欲しい銃ってありましたか?

田村:
最初はMP5を使っていました。現役の時に自分が使っていたから(笑)それからMP7にアップデート。最新型なので嬉しいですね。さっきも言ったんですけど、隠密行動が成功しやすくなるんでサブマシンガンが好きです。こういうの「ガチャ」で入手がランダムなゲームが多いと思うんですけど「Black Command」は、普通に買えるのが良心的でいい。

長田:
自分はHK416が欲しいですね。ガンマニアというわけではないので知らない銃の方が多かったんですけど、説明文がついててこれを読むのも楽しい。

田村:
89式が欲しいんですよね……銃のツリーというんですか、一覧にはあるんですけど入手できるようにならなくて……出てきますよね?

ミリタリーブログ:
89式だけじゃないんですけど、銃のアンロックは隠れた条件が色々あって……レベルの高い銃はアンロック条件も複雑です。ツリー上で道がつながっているように見えても、それだけだとアンロックできないんです。説明文にヒントがあったりするので、読んでもらえれば……。

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竹内:
あとゲーム中で入手経路も確保しないといけません。どこからか武器を仕入れてくるエージェントがゲーム中に登場するので、依頼してみるという入手方法もありますよ。

田村:
なんだか一つだけ強い銃があるんですけど、あれは何だったんだろう?

ミリタリーブログ:
実は同じ銃でも「横流し品」とか「正規品」とか、グレードによって性能がかなり違います。

竹内:
そんな感じで銃の設定はすごく複雑です。ゲーム自体はシンプルに遊んでもらえるんですけど、見えている性能データ以外にも、実銃の銃身長や使用する弾薬、重さとかそういうスペックを全部反映させて裏ではかなり複雑な計算をしています。開発当初はもっと膨大なデータを入れようとしていたんですけど、そうすると複雑になりすぎて遊びにくくなってしまうので……。

さきほどの田村さん、長田さんのお話にもあったんですけど、銃の性能に合った戦い方があるので、どれでも気に入った思い入れのある銃で遊んでもらうのが一番と思います。

ミリタリーブログ:
「戦闘ログ」を見ながら最適な装備やチーム編成を探っていくのも「Black Command」の楽しいところですね。

竹内:
そうやって作ったチームを使って、プレイヤーどうしで戦えるPvPモード、面白いかもしれませんね。そういうの、興味あります?

田村:
それは面白そうですね。もし実現したら最強のチームを作って待ってますよ!

ミリタリーブログ:
その道のプロたちに戦闘訓練を提供している田村さん、長田さんがBlack Commandの世界観とそのゲーム性にハマって戴けたようで、監修者として本当にうれしいです!

超シンプルなインターフェースと裏腹に、複雑なアルゴリズムの上で成立した戦闘結果とダークな民間軍事会社ビジネスの運営を皆さんの手のひらに!
Black Commandは、ミリタリーファンのツボを刺激するマニアによるマニアのためのゲームアプリです。是非、みなさんも堪能ください!!

BLACK COMMAND
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@BC_CAPCOM
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