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アメリカのスパイ達の歴史を収めた国立諜報・特殊作戦博物館がオープン

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アメリカのスパイ達の歴史を収めた国立諜報・特殊作戦博物館がオープン
諜報という分野の歴史は血なまぐさいものである反面、バラエティに富んだエピソードに満ちている。そうした魅力を後世に伝える国立諜報・特殊作戦博物館(NMISO)が、戦略情報局(OSS)ソサエティ、諜報・特殊部隊コミュニティからの寄付、さらに1,000万ドル(約11億円)の出資を行うアメリカ最大の個人基金の一つ「スター(Starr)基金」によって完成間近である。
NMISOはアメリカ東海岸、ヴァージニア州とワシントンD.C.の境目にあるロウドーン郡東部に、5万6千平方フィート(約5,200平方メートル)の敷地をもって開設され、アメリカの情報・諜報活動や特殊作戦に関する歴史の展示・教育を行うものになる。

展示スペースだけでなく談話スペース、講演ホールなどが用意される。
アメリカのスパイ達の歴史を収めた国立諜報・特殊作戦博物館がオープン

建物全体は特殊作戦のシンボルである「スピアヘッド」の形状となっている。
アメリカのスパイ達の歴史を収めた国立諜報・特殊作戦博物館がオープン

「戦略情報局」は第二次世界大戦中、様々な組織によって「縦割り」となっていた米国の情報収集活動を一本化するべく作られた組織である。ヨーロッパが主要な活動の部隊であったが、隷下の101分遣隊がビルマで対日レジスタンスを組織するなど、世界中にその活動の痕跡がある。

情報収集はもちろんサボタージュ活動、プロパガンダ工作、暗殺に至るまでありとあらゆる「秘密作戦」を任務としていた。そのため創始者であるウィリアム・”ワイルド・ビル”・ドノバン将軍の「OSSの要員はバーで喧嘩ができる博士号持ちが理想的だ」という言葉の通り、軍人はもちろんのことながら料理研究家、最高裁判事、建築家など多岐に渡る幅広い人材を輩出している。

現在「閉所戦闘」「CQC」などと呼ばれる特殊な射撃・格闘術を「フェアバーン・システム」として体系づけた英国軍人のウィリアム・E・フェアバーン、米陸軍のレックス・アップルゲートもOSSの出身者である。

戦後解体されたが部局ごとに生き残り、ほぼそのまま現在のCIA(中央情報局)として復活している。またOSSの水中破壊チームは現在の海軍特殊部隊SEALsの前身となるなど、特殊作戦コミュニティにも大きな影響を与えている。

「スパイの物語」はどのエピソードも驚きに満ちた、一つ一つがユニークなものばかりだ。開館予定は2020年から2021年。その歴史の一端が公開されることは実に喜ばしい。

参考:
初めて「AK-47」自動小銃を見たCIAのスパイが本国に送ったイラストをカラシニコフ社が紹介 - ミリブロNews
重量わずか1グラム 70年代に作られたCIAのトンボ型盗聴ドローン「Insectothopter」 - ミリブロNews

Source: National Museum of Intelligence and Special Operations

Text: Chaka (@dna_chaka) - FM201902
Chaka (@dna_chaka)
世界の様々な出来事を追いかけるニュースサイト「Daily News Agency」の編集長。


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