カギッキ氏プロデュースのタクティカルトレーニングイベント「ベーシックタクトレ現地版」取材レポート

エアソフト・サバゲー・実銃・アウトドア関連 レポート Comments(0)
去る2017年11月18日~19日、「カギッキ」氏主催のイベント「ベーシックタクトレ現地版」が開催された。18日には和歌山の「バトルランド」にてアドバンスクラスが、19日には同じく和歌山のDress&Gunシューティングレンジにてベーシッククラスが開催された。

今回のイベントをプロデュースしたカギッキ氏はYouTubeで「ベーシックタクトレ」と銘打つシリーズ動画を公開している。2013年から現在までに39本の動画がアップされ、まったくのビギナーからステップアップを考える中級者まで、様々な層からの支持を得ている。装備品メーカー「GALAPANIA」主宰の一人でもある。

「現地版」は、ゲスト講師に海外でのトレーニングツアーに強い旅行会社「C-TOURS」の白石氏と、各地で警察官・自衛官を中心にトレーニングを行っているSDT-WORKSの柏木氏をゲスト講師に迎え、動画の内容を実際にやってみる、という趣旨のイベント。7月24日、東京サバゲパークで行われたが、これをそのまま関西に持ってきたのが今回のイベントである。

プロデュースしたカギッキ氏。

ゲストの柏木氏(左)と白石氏。

今回の記事では紹介する順序が逆になるが、内容を踏まえてまずベーシッククラスの内容を紹介した後、アドバンスクラスの内容に移りたい。

※注意※
今回紹介する内容は、アメリカを中心とした諸外国の軍・警察向け、セルフディフェンス向けトレーニングでは一般的なものであるが、本邦においては法的に許容されないものを含んでいる。また内容を鑑み一部内容を伏せている。
「タクトレ」クラスで何を学ぶか
日本でいう「タクトレ」のクラスは基本的な銃の扱い方を中心にしたものが多い。一言で「扱い方」といってもレバーやボタンの操作方法に始まり、フォームの作り方、サイトを使った狙い方までチェックすべき項目は山のようにある。自分の使う銃に合ったクラスであれば、受講する意味は大いにある。

しかし上記のような「扱い方」は、例えばスポーツ射撃のクラスでもカバーされるものである。「タクティカル」なクラス、ワークショップはこれらと何が違うのだろうか。

最も大きな違いは、戦闘における技術にフォーカスしているという点である。安全に、かつすばやく正確に複数のターゲットを射撃する、という目標に「確実に止めるために」「自分が撃たれないように」……など戦闘において求められる要素が付加される。こうした状況でどういう手をうつことができるのか、自分の手持ちの道具を増やすために行われるのがタクトレである。

そういうわけで、単に「扱い方」といっても戦闘を意識した非日常的なものになる。まずはベーシッククラスで行われた内容を見てみよう。

「タクトレ」に必要なガンハンドリングを学ぶ「ベーシッククラス」
銃器に関するあらゆるクラスはコンバットシューティングの始祖、ジェフ・クーパーが提唱する「4つのルール」の確認から始まる。

1. 銃には常に弾丸が装填されているものと考える
銃は発射可能であると想定して扱うことが安全管理の第1である。特に長物はガスブローバックガンや電動ガンが混在するため重要なルールである。

2. 破壊したくないものに銃口を向けない
人間が手に装填された銃を持っている状態は発射の一瞬前である。銃を持ったら、ターゲット以外には決して銃口を向けない。

3. 照準が標的に乗っている時以外はトリガーに指をかけない
ストレスがかかった状態での誤操作や、転倒などの突発的な事故でトリガーを引いてしまうのを防ぐためである。

4. 標的とその後ろにあるものをよく認識すること。
跳弾や貫通弾などによる不要なダメージを考慮すること。

このルールに例外はなく、スポーツであろうとタクティカルな状況であろうと守らなくてはならない。そのための技術を習得するのがタクトレの目的であるともいえるし、逆にこのブリーフィングを行わないタクトレは「モグリ」であると言っていいだろう。

「ベーシック」であるので4ルールにのっとった銃の置き方・持ち方からスタートする。

外から見て安全が確保されているのが確実に分かる形で置いておくのがベスト。

銃とリグのチェックや安全確認の仕方といったごくごく初歩的な内容から丁寧に抑えていく。

「押し相撲」をしてスタンスチェック

ストロングハンドのみの射撃の展示。自分が負傷した際はもちろん運転中・運搬中などで片手が塞がる状況はいろいろ考えられるため、必須の技術である。

競技射撃の練習会でも同様のことを行うが、タクトレを「タクティカル」たらしめているのは敵の存在への意識づけである。

例えば射撃後、撃った後周囲を見て他の襲撃者がいないことを確認する「アセス&サーチ」「スレットスキャン」を行うことを教えることが多い。助教はダミーガンを手にもったり指を立てたりして、生徒が後ろを見ているかどうかをチェックしている。


明快に戦闘を志向した「アドバンスドクラス」
「アドバンスド」クラスでは、この「敵の存在への意識」がより明確な形で現れる。

「アドバンスド」クラスではセーフティブリーフィングの後、まず「テューラー・ドリル」が行われた。刃物を持って走ってくる人間に安全に対処できる距離は、理想的な状況であっても21フィート(7メートル)が限界と言われており、それを理解するためのドリルである。それ以下では銃以外の対ナイフ技術が必要になる。

例え相手が自分に害をなそうとしているとしても、目の前の人間を躊躇なく撃てる人間はいない。アドバンスドクラスにおけるテューラー・ドリルは「敵を撃つとはどういうことか」を知るためのものである。

チェンバーをチェックして安全を確認したハンドガンと口鉄砲でダミーナイフを持って走ってくる人を撃つ。襲撃者が一人とは限らない。インストラクターが武器を振り上げているのに気づけなければアウトである。

さらに多人数が集まるクラスを受講する意義は「SUT(Small Unit Tactics)」つまり少人数のユニットにおける戦い方を学ぶことにある。

個人からグループでの行動になった途端、銃の扱い方がおぼつかなくなる人がほとんどである。相手はどう動こうとしているのか、自分は相手の射線を遮らないかどうか……注意すべき点は一気に増える。列を崩さず前進しながら射撃するところから始まる。

列を作って歩く際、ローレディポジションでは前を行く人間が下がってきてしまった場合、銃を上げることができなくなる。状況に合わせて最適なレディポジションを取らなければならない。

自分はどのタイミングで何を撃てばよいのか、相手にはどのタイミングで動いてほしいのか……射撃技術だけでなく、メンバーとのコミュニケーションを取ることが重要になってくる。

先頭の人間は後ろで何が起こっているか分からないため後ろの人間がしっかりコントロールする。距離は詰めすぎても離れすぎてもコミュニケーションがうまくいかなくなる。これは単独でのトレーニングでは決して学ぶことができないことである。

集まって自分たちのレビューを行うチーム。こうしたコミュニケーションが重要である。

煙幕や騒音で視覚・聴覚を遮られると、サインや声が通らなくなりコミュニケーションはさらに難しくなる。こうした困難さを知っているのと知らないのでは、対応に差が出てくるだろう。


アドバンスドクラスの最後は想定訓練である。参加者はチームごとに地図を見せられ200メートルほど移動する計画を立案する。たったそれだけだが、チーム全員で理解して行動手順を決めるのは難しい。

用いる技術はレンジで行われたものだが、リーダーシップをうまくとるメンバーがいる、メンバー間がある程度顔見知りであるなどの要因がないとスムーズに進行しない。

当然突発的なアクシデントが発生するのでチームは全員でコミュニケーションをとってそれに対処しなければならない。

暗闇、騒音、煙幕で下がってくるメンバーが見えにくい中、援護射撃を行いつつ撤退するチーム。曇り空でうっすらと明かりはあるが、ストロボがなければ足元はまったく見えない状況である。


おわりに
銃や軍隊に対する文化・理解の差や言語の壁といった障害から、日本でいう「タクトレ」は速射や素早いリロードなど、画像・動画映えする離れ業的な個人技能がクローズアップされることが多い。しかしそれがなぜ必要なのかという理論づけに乏しい、あるいはちぐはぐな理屈がついており、不完全なものとなってしまっている。交戦距離が数百メートルにもなる野戦と数メートルに満たないCQBの技術を混同してしまう人を時々見かけるも、それは「なぜ」が理解されていないからであろう。

今回のカギッキタクトレはしっかりとした射撃技術と、そして「安全なハンドリング」「敵の存在」「チームビルディングとコミュニケーション」をキーとした、重厚なものであった。日本に住む一般市民は決して用いることのない知識ばかりであるが、最新のテクニックに興味がある人、最前線のM/LEが何を感じているのか知りたい人には十分な満足感を得られるものになったはずだ。

「現地版」は今後も定期的に行われるので、興味のある人はアンテナを張っておくとよいだろう。

カギッキ@12/2~12/3大阪ショットショー出展(@kagikki)さん | Twitter
https://twitter.com/kagikki

C-Tours LLC | Just another WordPress site
http://c-tours.net/

SDT-WORKS オフィシャルブログ
http://tsn.militaryblog.jp/

Photo & Text: Chaka (@dna_chaka)
Chaka (@dna_chaka)
世界の様々な出来事を追いかけるニュースサイト「Daily News Agency」の編集長。


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