Shin Tactical Lecture 2018取材レポート~デイタイムタクティカルトレーニング編~

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最近「タクティカルトレーニング」のセッションが日本でも増えてきている。「本職」のスキル向上を目的としたものはもちろん、知的好奇心を満たすもの、演劇・映画等のワークショップの一環としてのものなどその内容は様々だが、今回、七洋交産主催で行われたSHIN氏のクラス「Shin Tactical Lecture」では、確かなバックグラウンドに基づく射撃技術と、現場における最新のトレンドに触れることができる貴重な機会となった。

今回は、午前の基本的な射撃技術と初歩的なスモールユニットタクティクス(SUT……小部隊戦術)のクラス、そして夜のローライト環境におけるトレーニングを2本の記事に分けてお伝えする。

今回のトレーニングは「マークスマンシップ(射撃)」と「タクティクス(戦術)」の間をうめるものであるとするSHIN氏。アメリカでガンスミスや「RECOIL」等大手銃器雑誌のレポーター、レビュアーとして活躍する一方、プラクティカル(実践的、現実的)シューティング競技であるUSPSA、IDPAのトップシューターでもあり、各地の司法執行機関にも射撃技術指導を行っている。

射撃技術は個人に属するもので、そばにいるチームメイトが助力できるものではない。射撃技能の向上はチームに対する自分の責任であり、それによって戦術の幅を広げることができる。

セッションブリーフィングはまず安全管理、すなわち「ジェフ・クーパーの4つのルール」の確認から始まる。ほとんどの暴発・誤射事故はシューター起因であり、シューターが安全であれば環境も安全に近くなるためである。もちろんタクティカルな状況ではこのルールを破る必要がある時もある。そうした時にいかに安全にルールを無視するか、これもタクティカルなトレーニングで学ぶべき重要な要素という。

他にも、緊急時に射撃をストップさせる合図、緊急時の連絡先や現場の医療技術者、応急処置キット、待機時の装填状態について確認した。

レンジではまず、体の温まっていないコールドな状態で10発を射撃し、着弾を確認する。コールドではクセに由来する問題が出やすく、データとして有用なためだ。

一般警官や市民においては、グルーピングを小さくする練習時間がとれないので、サイズよりもズレに注目する。ドットサイトなどの照準補助具でなんとかなる問題であれば、それらを使用すべきであるという。

身体操作など技術的な問題なのか、ゼロインの問題なのか、あるいは気温や風といった環境要因なのか……様々なケースにおけるクセやミスを把握しておくことで、トラブルの際に役に立つ。

午前のセッションでは、一貫して良い習慣を身につけることがテーマとなった。良い習慣によって動きを均質にし、それによって精度を確保する、というコンセプトである。

ロードの動作などは1回毎に練習になるので、毎回同じ動きで行う。すべての動作は人体の構造に沿った技術であることが望ましい。例えば「トリガーガードから前を見る」式のリロードでは、腕や手の動きが不自然になる。

ハンドガンのグリップは面積と圧力で作っていく。握る技術は重要であるが、グリップのサイズ選びもまた重要である。とっさの時に握り込んだ時に、適切な位置で引き金に指がかかるか、強く力をかけた時に手が余ってしまわないかを考慮してパームスウェルのサイズを選ぶべきという。

マグを挿入する向きは、手首の角度を考慮して、腰骨を基準に弾倉の前後の向きを変えている。こうしてすべてにおいて「とっさのときの人体の自然な動き」になるかどうかをチェックしている。

ライフルへのロードはボルトの状態をチェックする。ダストカバーが閉じるかどうかでボルトの閉鎖状態は確認できる。確実にチェンバーに装填されたのかを確かめたければ、ダブルカラムの弾倉の場合は、抜いて弾の左右が変わっていることを確かめるということもできる。

射撃を外す8~9割はトリガーワークに起因する。遊びをとる「テイクアップ(take-up)」からシアの重さを感じる「ウォール(wall)」そしてかみ合わせが外れる「ブレイク(break)」という段階ごとに加重を変化させていくのが基本である。

射撃、特にプラクティカルシューティング(実践的、現実的な射撃術)においては、決まった技術、こうしなければならない、というものはない。射撃を命中させるためのコンセプトがあり、それらを守っていればこうして3人で1丁の銃をオペレートしても命中させるテクニックを得ることができる。

射撃ドリルでは、命中するかどうかはもちろんであるが「実戦ではどうするか」ということを常に考えることが求められた。決まったレディポジション、決まったリロードのタイミング、決まった射撃姿勢、決まった弾数というものはない。サーチ&アセスも、射撃タイミングを探る、新しいターゲットを探す、というマインドセットで行う。その場でどのように撃つかは参加者の判断である。インストラクターは、生徒を見ながら負荷を変えていく。

プラクティカルな射撃ではターゲットの大きさと距離に無数のバリエーションがある。大きく近い的と遠くの小さな的ではスピードと精度のバランスは大きく変化する。


ロー/ハイそれぞれのレディポジションの時、銃口はどこを向けるのか。明快な理由があり、用いるべき適した状況がある。

タイマー音がランダムに鳴り、その度に姿勢を変化させていくドリル。伏せ方に決まりはなく、参加者が各自で考えて動く。

チームでのドリルが行われた。「これは実戦であればどういう状況か」を考えながら行動することになる。そうすることで、単なる反復ではなく、内容の濃いトレーニングになっていく。

例えば銃撃戦において弾切れというのは「マルファンクション(故障)」と同義であって、素早くリカバーする技術が必要だが、同時に自分の銃が撃てない状態を「Cover me!(援護してくれ!)」と仲間に共有するなどリロードの技術以外の部分が重要である。

情報伝達の際は、なんの情報が必要なのかを考えなければならない。例えば「Reloading!(リロード中!)」では、味方は何をすればよいのか分からない。限られた時間の中で、適切なコマンドが出せるかどうか。チームドリルにはチームならではの問題が発生する。

チームドリルでは、味方の射線に入らず、自分の射線が味方を横切らないことが重要である。例えば、前にしゃがんでいる味方がある際は、立ち上がった際の事故を防ぐべく、マズルを相手よりも前に出したほうがよい。手や膝で相手をコントロールすることも可能である。

弾切れや銃の故障など突発的なアクシデントは常に発生する。そうした際にどうするか。個人では武器を交換するが、その際チームメイトはどうすればよいのか、目まぐるしく変化するハイストレスなドリルである。

一通り射撃が終わった後は、バリケードを追加してドリルが繰り返された。

単純に「2人組でのバリケード射撃」と言っても、スペースや射線が制限されており難しい。自分だけでなく味方のカバーは十分か、本当にその姿勢で撃てるのか、これが板ではなく自動車やフェンスであればどう動くのか、参加者自身の考えでどんどん濃くすることができる。

ドリル中、腕を負傷したという想定でペットボトルを手渡され右手を封じられた参加者。単なる射撃ではなく、タクティカルなシチュエーションならではの課題である。

受講者には修了証が手渡された。

世の中には無数のテクニックが存在しているが、それらすべてを覚えるのは不可能である。そうではなく、それらのテクニックを抽象化・一般化した「プリンシパル(理論、理合)」を学び、そこから自分で、その場に適したテクニックを組み合わせ、編み出していく。タクティカルトレーニングにおける学びとはそこにある。

後編では、夕方から行われたローライト環境における戦術トレーニングの様子をお伝えする。



Photo & Text: Chaka (@dna_chaka)
Chaka (@dna_chaka)
世界の様々な出来事を追いかけるニュースサイト「Daily News Agency」の編集長。


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