Shin Tactical Lecture 2018取材レポート~ナイトタイムタクティカルトレーニング編~

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先の記事に続き、今回はアメリカで活躍する銃器専門家SHIN氏のトレーニングクラスからナイトセッション、ローライト環境におけるトレーニングについてお伝えする。普通に生活していればまず光のない環境で活動することはないだけに、いかに環境に慣れ、コントロールするか、そのコンセプトについて多くが割かれた。


■ローライトな環境と夜間装備の使い方を学ぶ必要性
司法執行機関の統計では、犯罪の多くは光の少ない夜中に発生する。軍の作戦行動も、見えにくい夜中に行われることが多く、暗い環境での戦い方はますます重要になる。ライトの特性を知り、銃撃戦に生かすのは自然な流れである。

フラッシュライトは以下の5つの使い方に分類される。
サーチング……索敵
ナビゲーション……移動の補助
アイデンティフィケーション……識別
コントロール……制圧
コミュニケーション……通信

何にでも使えるライトというのは難しく、5つそれぞれに適したライトの光量や光の集まり方というものがある。まず適切なライトを自分で選べるかどうかがカギとなる。

例えば明るすぎるライトを夜道でただ歩く時のナビゲーションには使いにくいが、敵味方識別では、銃の射程と同等を照らせるライトが望ましい。これは1500ルーメンのライトで約50メートル先の人間を照らしたところであるが、武器の所持の有無まで識別できる。低倍率スコープを併用すればこれを200メートル程度まで伸ばせる。

1500ルーメンのM600DF SCOUTライト。技術の発達によってコンパクトながら高出力のライトが作られるようになった。

Photo from Surefire.jp

ライトといえば光量、であるがスイッチの形式は同じくらいに重要である。押すとオン、離すとオフのモーメンタリースイッチは片手で扱える反面、ライトを落とすなどして手が離れると消灯してしまう。単独行動する警察官が使用する場合、片手に銃、片手にライトを使って相手をドミネート(制圧)している際に無線機が使用できなくなってしまう。

逆にスイッチを固定できるコンスタントオンでは頻繁にオン・オフを行うサーチング用途には不適である。光は音と同じく「ノイズ」でありこのように自分の位置を明らかにしてしまう。不要な時は消灯しておきたい。

いわゆるEDC用途として、ロックアウトテールキャップとデュアルアウトプットを組み合わせたスイッチも用意されている。究極のところは複数のフラッシュライトを持ち歩くのが理想である。
EDCL2-T Dual-Output LED Everyday Carry Flashlight | SUREFIRE

Photo from Surefire.jp

ウェポンマウントライトでもスイッチの選択は重要である。ライト本体のスイッチだけでなく、片手で使用する場合はテープスイッチや、SurefireではDGスイッチという中指で押し込むスイッチを併用する。
X300UH-B Ultra-High-Output White LED WeaponLight | SUREFIRE

Photo from Surefire.jp

先般発売されたMasterfireホルスターも「スイッチ」の一つといって良いだろう。ノッチを切り替えてから銃を抜くとライトを同時にオンにできる。ロープやはしごなどで片手がふさがっている状況でライトを点灯させて銃を抜きたい、という非常に特殊な、かつクリティカルな需要に応えたものだ。

光を反射するリフレクターの形状や表面の仕上げ、LED自体のレンズのデザインの違いによる眩しさの違いなど、単純な出力以外にも考慮すべき点はたくさんある。スペック表に載らない部分、例えばLEDモジュールのメーカーによる光の出具合の違いや、バッテリーの放電能力によってもライトの使い勝手は大きく変化する。

人間に暗視能力がない以上、ローライト環境におけるフラッシュライトは目や耳に等しいもので、故にライトは銃よりも、より強く戦術に影響を与える。射撃において銃のメカニズムに対する理解は重要だが、それ以上にローライト環境におけるライトそのものについての知識は重要となる。

■フラッシュライトをつかった戦術のコンセプトとテクニックの構築
闇夜における光は、視覚を補助するメリットと騒音と同じくノイズとなるデメリットがある。暗闇に慣れ、光を使いこなすためのコンセプトを、フォースオンフォースを通じて学んでいく。

今回インストラクターをつとめたSHIN氏は、Surefire InstituteのLowlight instructorコース修了者であり、今回はそのコースの内容をベースとしている。
1. 環境光を読み取り順応すること
2. 最も暗い場所で行動すること
3. 背景光を避ける、あるいはコントロールすること
4. 照射と移動を繰り返すこと
5. 高さを変えながら間欠点灯すること
6. ライトによって制圧すること
7. 目、武器、ライトの3つを並べること
8. ライトは3つ以上携行すること
以上が、ローライト環境におけるプリンシパル(理合)である。

1~3について。まず当日フォースオンフォースで使われたフィールドは完全な闇ではなく、遠くの市街の明かりやそれらの雲による反射、危険なエリアとの境界をしめすLEDフラッシュなどが存在していた。普段意識することがないこれらの環境光を読み取り、背景光で自らがシルエットになることなく、影に潜んで動くことが重要である。

4と5について、例えばサーチングの際、継続点灯するというのは大声で話しながら移動するようなものである。点灯ごとに照射方向や光源の高さを変えることで、照らされる方は次にライトが出現する位置を予測しにくくなる。

6~7はこの通り「光の壁」によって向こう側はまったく見えなくなってしまう。光量が大きいほど照り返しで自分の視界も失われてがちであるが、光量が大きいほど視界を奪いやすいメリットとトレードオフできる。

光の壁でドミネートした状態。しかし見えていないところから敵が回り込みつつある。明暗のコントラストが大きくなるため、光の外側は死角になる。

同じくドミネートし、視界を奪った状態からの突入。突入側がライトの光束に入った瞬間に背中から強く光が当たってシルエットが見えてしまう欠点もある。

回数が進むにつれ、点灯時間は短くなり、動きは大胆になっていく。参加者たちは物理的な遮蔽だけでなく、視覚的な遮蔽、暗闇を伝って動き始めるようになる。バディがライトを点灯している間、自分はその外側で動き始めるという連携もできるようになる。

主催の七洋交産が公開している当日抜粋動画で、フォースオンフォースのスピード感を確かめて見て欲しい。
Shin Tactical Lectur 2018 - YouTube

プリンシパル(原則)をひとつひとつを学ぶことは難しい。しかしフォースオンフォースを通じて「どう考えたか」「どう見えたか」「なぜ撃てたのか」を繰り返し考え、暗闇での動き方を覚えていく参加者は、自分でテクニックを編み出すことができるようになっていた。

以上、わずか1日、合わせて10時間ほどのクラスであったが、非常に濃密な内容であった。クラスの内容はもちろんであるが、SHIN氏がアメリカの第1線で活躍する専門家ということで、参加者は日頃の様々な疑問をぶつけ、アップデートすることができていたようだ。もし次回開催されるなら、即日完売は間違いのないクラスであると思う。



Photo & Text: Chaka (@dna_chaka)
Chaka (@dna_chaka)
世界の様々な出来事を追いかけるニュースサイト「Daily News Agency」の編集長。


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