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米軍デルタフォースがシリアで捕虜救出の地上急襲作戦を決行か。25 名のダーイッシュ戦闘員を殺害

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米軍デルタフォースがシリアで捕虜救出の地上急襲作戦を決行か。25 名のダーイッシュ戦闘員を殺害
Photo from EUCOM.
Image is for illustration purposes only.
米軍の特殊部隊が 8 日 (日) 、シリア東部において、地上での急襲作戦を実行し、多数のダーイッシュ (Daesh, IS, Islamic State, ISIL, ISIS) 戦闘員を殺害していたことが報じられている。

今回の急襲作戦について、ワシントンポストをはじめ、複数の英字紙が報道している内容をまとめると、作戦はシリアの奥深く、ダーイッシュが「首都」と定めている北部のラッカから更に 140 キロメートルほど東に位置する、北東部の都市「デリゾール (Deir al-Zour or Deir ez-Zor) 」にあるユーフラテス川沿いの小さな町、クバール (Kubar) を舞台におこなわれたことが分かっている。クバールは、ダーイッシュにとっては、ラッカを死守する際における「第一防衛線」と考えられている。
1 月 8 日 (日) 午後 2 時半頃、ヘリコプター 4 機に分乗した特殊部隊員らが上空から降下。英国に拠点を置く非政府組織 (NGO: Non-Governmental Organizations) のシリア人権監視団 (SOHR: Syrian Observatory for Human Rights) によると、「およそ 2 時間ほどの急襲作戦において、少なくとも 25 名のダーイッシュ戦闘員が殺害された」としている。

一方で米国の当局者は、この発表を否定しており、「殺害人数は誇張されている。それよりも少ない」と主張している。また、地元メディアであるユーフラテス・ポストによると、「特殊部隊は地上に降り立ち、数名のダーイッシュ戦闘員を殺害し、その遺体の幾つかを持ち帰った」とも報じている。

連合軍の広報官を務める米軍のジョン・ドリアン (John Dorrian) 大佐は、作戦決行の事実こそ認めたものの、詳細情報の提供を否定。その為、作戦の具体的なターゲットが明らかではないものの、地元の人権活動家らによると、「 (連合軍は) 人質救出を試みていたのではないか?」としている。

なお、この件に関連して、シリアの人権活動家グループであるサウンド・アンド・ピクチャー (S&P: Sound and Picture) が、「ダーイッシュにより捕らわれていた囚人 2 名を解放」と報じているが、正式にはその詳細が明かされていない。一方、地元でダーイッシュの蛮行を監視している別の団体によると、殺害されたダーイッシュ戦闘員の遺体の他に、「救出された捕虜の姿らしきものがあった」という目撃者情報も寄せられている。

この捕虜救出について、地元では予て (かねて) より「この地には重要な秘密の収容所が存在する」「西洋人がその中に収容されている」ことが報告されていたようだ。


また、米ノースカロライナ州の日刊紙、ファイエットビル・オブザーバーは、国防総省の広報官であるジェフ・デービス (Jeff Davis) 大尉が記者会見の中で、「不特定の "遠征タスクフォース" (expeditionary task force) がこの任務を実行した」「"ルーチン" で "成功だ" 」と発表したことに触れて、「作戦を実行したのは (陸軍最精鋭の特殊部隊である) "デルタフォース" によるものだ」とする「関係者」の発言を紹介している。

なお、この「遠征タスクフォース」について、アジア圏の英字ニュースサイトでは、名称の中の一文字が違う「ETF (Expeditionary Targeting Force) 」であるとして紹介しているものが目立っている。ETF は、2015 年 12 月に、オバマ政権が「価値あるターゲット (HVT: High-Value Targets) 」として、五指に余るほどしかいないダーイッシュのトップ幹部の首を狙い、その追及の手を強めた新戦略の中で紹介された、デルタフォースを中心とする 200 名ほどの精鋭兵士で構成される派兵部隊。

関連記事:
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また、インド PTI 通信によると、米軍特殊部隊に帯同した英陸軍特殊部隊 SAS の存在も報じており、「ダーイッシュの首領、アブー・バクル・アル=バグダーディー (Abu Bakr al-Baghdadi) 容疑者の暗殺を企てた作戦だ」と紹介している。

英軍特殊部隊の動きについては、英国のタブロイド紙であるデイリースターが、対外諜報を担う MI6 (情報局秘密情報部) と、通信傍受や暗号解読といった SIGINT (signals intelligence) を担う GCHQ (Government Communications Headquarters: 政府通信本部) とが、実行部隊である SAS と連携を図っていたとしている。

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米国が主導する連合軍によるダーイッシュ討伐作戦においては、無人機や空爆による攻撃が殆どとなっており、地上での急襲作戦の実施は数えるほど少ないとされる。

2015 年 5 月、デルタフォースによるダーイッシュ幹部を狙った夜間襲撃作戦が決行され成功。この時には「ステルスブラックホーク」の投入が噂されており、鮮烈な印象を残している。

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米国務省は 2016 年末に、バグダディ容疑者の拘束につながる情報を提供した場合に、これまでに提示していた 2 倍以上となる、2,500 万ドル (約 30 億円) の懸賞金を提供する用意があることを発表している。

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