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中国がカーフェリーを水陸両用強襲作戦向けに転用

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中国がカーフェリーを水陸両用強襲作戦向けに転用
An amphibious craft (For Illustration Purpose Only)

 中国が商用のカーフェリー(自動車を運ぶ貨物船としてのフェリー)を水陸両用の強襲揚陸艇に転用していることが明らかとなった。台湾侵攻を念頭に置いた兵員輸送能力の充実を図っているとの見解がある。

 中国軍は台湾に深刻な脅威を与えるのに十分な数の水陸両用船舶を準備できておらず、中国政府が民間船舶の軍事転用を指示したとの見方が強い。車両を効率的に輸送できるカーフェリーは、中国軍の水陸両用作戦における要求に合致するものであったと考えられる。車両を迅速に乗降させることができる面でも、軍事転用に十分な能力をもつ船舶であると言える。

 商用船舶として自動車やトラックを運ぶ代わりに装甲車や輸送車両を運ぶことを除けば、船舶の用途はさほど変わらないため、転用にかかるコストや時間も抑えることができる。

 2020年には、排水量1万5千トン級の民用フェリーが中国海軍の演習に使用されており、大型フェリーを用いた歩兵戦闘車の輸送試験も行われたようである。試験には05式水陸両用歩兵戦闘車(ZTD-05)が使用されており、軽量の戦闘車両を使った上陸作戦も視野に入れた演習も行われているようである。

 中国は継続して台湾侵攻の姿勢を見せており、政府の支援を受けた中国軍の軍備拡張は順調である。民用船の密かな軍事転用は、今後新たな脅威となる可能性が十分にある。
松井の所見:
 共産主義の政治形態をとる中国では、民間が保有するあらゆる財産は全て中国政府から借りているものとされている。このため、本記事で紹介されたように、政府の支援があれば、民用船の軍事転用は世界中のほとんどの国よりも容易に行うことができる。軍用船を民用船に偽装して侵攻する行為は国際法違反であるが、今回のように予め軍用目的で積載物を変えて使用するのであれば、中国にとって即席の軍用輸送船を調達するのはさほど難しくないと思われる。中国軍の物資が足りていないのは明確であるが、それを政治的作用で補ってしまう中国は、台湾だけでなく日本にとっても強大な脅威であることは間違いない。中国は、資本主義社会では通用しない常識が通用してしまっているのである。

出典:フォーブス(Forbes) 「China Converts Car Ferries For Amphibious Assault」


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Matsu (@mattsannENG)
原子核工学を専攻し、量子光学まで専門性を発展させる。その後、航空系防衛製品の輸入関連に従事。現在は田村装備開発(株)のミリブロ担当としてNews記事を執筆している。
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