「羊毛」から作られた特殊な被服を着用して最前線に展開する英陸軍特殊部隊 SAS
英国防省が、戦闘の最前線に展開している陸軍特殊部隊 SAS (Special Air Service) の隊員に対して、羊毛 (merino wool) を原料とする被服を支給している。複数の英紙が伝えている。
Photo: via Armadillo Merino official Instagram
Image is for illustration purposes only.
開発を手掛けているのは、英国ダービーシャーに本拠を構えるアルマジロ・メリノ (Armadillo Merino) 社。同社は、ヒトの毛髪の 4 分の 1 以下となる 17 ミクロンにまで紡いだ特殊な羊毛を使用。その結果、いくつかの驚くべき特性を持った超強靱なファブリックが生み出されている。
Capture screen: via Armadillo Merino website
その特性はまず、従来隊員が愛用していた合成繊維を使った被服と違って、熱によって溶けて皮膚にこびり付くようなことが無いという。同社によると、「化学繊維は 160 度で溶け始めるが、メリノ羊毛は 600 度まで耐火性を持っている」とのこと。
また、自然由来のファブリックであるために、皮膚に吸収された化学物質を放出することが無いことや、体臭を抑制する効果も特徴に挙げられている。とりわけ体臭の抑制については、一旦派兵されて作戦に入ると、被服を取り換えることが出来ず、身の回りの衛生に気を配ることもままならない極限の状況下でサバイバルを余儀なくされる特殊部隊員にとって重要な要素となる。
加えて開発の副産物的に、カシミヤ並みに肌触りが良いことも特徴として挙げられている。
開発の発端となったのは、アルマジロ・メリノ社の創業者であるニュージーランド生まれのアンディー・コーギー (Andy Caughey) 氏が、被弾や、爆発、火災によって多くの兵士が化学繊維の被服を着用していたことによって、重度の火傷を負っている現状を聞き付けたことが切っ掛けとなっている。
アルマジロ・メリノ社は最近 SAS の他に、イタリア特殊部隊、米国の警察特殊部隊 SWAT チームへの供給契約をも勝ち取ったことが伝えられている。
Armadillo Merino Wool - Woolen fabrics military undergarments
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