アメリカ軍の極秘部隊「デルタフォース」と「DEVGRU」はいったい何が違うのか
アメリカ軍の特殊部隊の中でも特に秘匿性が高いのが「デルタフォース」と「DEVGRU」。いずれとも高度な戦闘能力を持つと言われているが、その違いはどこにあり、なぜ分けられているのだろうか。
■背景
デルタフォース、あるいはCAG(Combat Application Group……戦闘適応グループ)またはACE(Army Compartmented Element……陸軍別動エレメント)は陸軍を母体としているが、募集は全軍に対して行われている。そのため隊員は陸軍の第75レンジャー連隊やグリーンベレーを中心としているが、中には元SEALs隊員という変わり種もいる。対してDEVGRU、あるいはSEAL Team 6は同じ海軍特殊部隊SEALsの中から選抜される。
なおデルタは選抜に落第すると原隊復帰になるが、DEVGRUに落第してもSEALに留まることになる。
■選抜
デルタフォースの選抜は年2回、春と秋に行われる。約100人が肉体と精神の限界に挑み、最後の面接が終了するまでに90%が落第するらしい。これを突破すると半年間のOperator Training Courseがあり、そこでさらに30~40%が落第する。
DEVGRUの場合は年に1度、半年間「グリーンチーム」として選抜に参加することになる。落第率は50%ほど。体力的・精神的に厳しいのはもちろんだが、試験官であるDEVGRU隊員は志願者の顔見知りであることが多く、彼らの選考を突破する必要もある。
関連記事:
⇒ヒストリーチャンネルによる米海軍特殊部隊 SEAL Team 6 のイラストガイド映像
■作戦遂行能力
デルタもDEVGRUも、JSOC(統合特殊作戦コマンド)傘下のSMU(特殊作戦ユニット)であり、対テロ作戦、CQB、人質奪還、高価値目標排除、情報収集、爆破など短時間・少人数で直接的な行動を行うことを主眼としている。ただしDEVGRUは海軍出身なだけに、海賊対策などの海上作戦に派遣されることが多い。
■文化
特殊部隊の組み立てにおいては、その能力はもちろん、隊員が作り出す文化が重要視される。多様な出身を背景に柔軟性に富んだ組織にするか、同じ文化で育った固い結束とチームワークを求めるか……は外部の人間が考えるよりもずっと大きなファクターである。
既述の通りデルタは全軍から募集する。同じ陸軍でもレンジャーとグリーンベレーは任務内容がまったく違うし、軍の壁を越えればもっと違う。こうして様々な文化が混ざっていく。DEVGRUはほぼ全員がSEALs出身となる。
文化の多様性と並んで、デルタとDEVGRUの大きな違いとして言われるのは「歩兵」の経験の有無である。デルタはあくまでも「歩兵」の延長であり、中長期のサバイバル・ランドナビゲーションなどの技術には一歩秀でていると言われる。
特殊部隊にも2種類あるということは以前の記事でも触れた。デルタもDEVGRUも秘匿性が高い、いわゆる「Tier1」の部隊であり、その全容はまだ明らかになっていない。
参考:アメリカ陸軍特殊部隊の「デルタフォース」と「グリーンベレー」は何がどう違うのか - ミリブロNews
とは言うものの、SNSなど個人でも広く情報発信できる時代にあって、秘密を守り続けるのは難しい。特にDEVGRUについては報道でその名を見かけることが多くなった。元隊員による自伝が出版されたり「ゼロ・ダーク・サーティ」などかなり踏み込んだ内容の映画も公開されている。デルタフォースもそれなりに露出が増えたが、彼らと比べるとかなり少ない。
■ライバル心
デルタとDEVGRUは似たような作戦に多く投入されることから互いにライバル心があるらしい。JSOC司令官の出身による「ひいき」もあるらしく、目立つ作戦には出身の部隊があてられやすい……という噂もある。例えばオサマ・ビンラディンを殺害した「ネプチューン・スピア作戦」にDEVGRUが投入された時はSOCOM司令官、JSOC司令官とも海軍出身であった。このことがデルタ隊員を刺激した、ということもあるようだ。
Source: SEAL Team Six and Delta Force: 6 Key Differences - History Lists
Text: Chaka (@dna_chaka) - FM201702
デルタフォース、あるいはCAG(Combat Application Group……戦闘適応グループ)またはACE(Army Compartmented Element……陸軍別動エレメント)は陸軍を母体としているが、募集は全軍に対して行われている。そのため隊員は陸軍の第75レンジャー連隊やグリーンベレーを中心としているが、中には元SEALs隊員という変わり種もいる。対してDEVGRU、あるいはSEAL Team 6は同じ海軍特殊部隊SEALsの中から選抜される。
なおデルタは選抜に落第すると原隊復帰になるが、DEVGRUに落第してもSEALに留まることになる。
■選抜
デルタフォースの選抜は年2回、春と秋に行われる。約100人が肉体と精神の限界に挑み、最後の面接が終了するまでに90%が落第するらしい。これを突破すると半年間のOperator Training Courseがあり、そこでさらに30~40%が落第する。
DEVGRUの場合は年に1度、半年間「グリーンチーム」として選抜に参加することになる。落第率は50%ほど。体力的・精神的に厳しいのはもちろんだが、試験官であるDEVGRU隊員は志願者の顔見知りであることが多く、彼らの選考を突破する必要もある。
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⇒ヒストリーチャンネルによる米海軍特殊部隊 SEAL Team 6 のイラストガイド映像
■作戦遂行能力
デルタもDEVGRUも、JSOC(統合特殊作戦コマンド)傘下のSMU(特殊作戦ユニット)であり、対テロ作戦、CQB、人質奪還、高価値目標排除、情報収集、爆破など短時間・少人数で直接的な行動を行うことを主眼としている。ただしDEVGRUは海軍出身なだけに、海賊対策などの海上作戦に派遣されることが多い。
■文化
特殊部隊の組み立てにおいては、その能力はもちろん、隊員が作り出す文化が重要視される。多様な出身を背景に柔軟性に富んだ組織にするか、同じ文化で育った固い結束とチームワークを求めるか……は外部の人間が考えるよりもずっと大きなファクターである。
既述の通りデルタは全軍から募集する。同じ陸軍でもレンジャーとグリーンベレーは任務内容がまったく違うし、軍の壁を越えればもっと違う。こうして様々な文化が混ざっていく。DEVGRUはほぼ全員がSEALs出身となる。
文化の多様性と並んで、デルタとDEVGRUの大きな違いとして言われるのは「歩兵」の経験の有無である。デルタはあくまでも「歩兵」の延長であり、中長期のサバイバル・ランドナビゲーションなどの技術には一歩秀でていると言われる。
■メディアへの露出
Photo: Zero Dark Thirty / Jonathan Olley (c) 2012 CTMG. All rights reserved
Image is for illustration purposes only.
特殊部隊にも2種類あるということは以前の記事でも触れた。デルタもDEVGRUも秘匿性が高い、いわゆる「Tier1」の部隊であり、その全容はまだ明らかになっていない。
参考:アメリカ陸軍特殊部隊の「デルタフォース」と「グリーンベレー」は何がどう違うのか - ミリブロNews
とは言うものの、SNSなど個人でも広く情報発信できる時代にあって、秘密を守り続けるのは難しい。特にDEVGRUについては報道でその名を見かけることが多くなった。元隊員による自伝が出版されたり「ゼロ・ダーク・サーティ」などかなり踏み込んだ内容の映画も公開されている。デルタフォースもそれなりに露出が増えたが、彼らと比べるとかなり少ない。
■ライバル心
デルタとDEVGRUは似たような作戦に多く投入されることから互いにライバル心があるらしい。JSOC司令官の出身による「ひいき」もあるらしく、目立つ作戦には出身の部隊があてられやすい……という噂もある。例えばオサマ・ビンラディンを殺害した「ネプチューン・スピア作戦」にDEVGRUが投入された時はSOCOM司令官、JSOC司令官とも海軍出身であった。このことがデルタ隊員を刺激した、ということもあるようだ。
Source: SEAL Team Six and Delta Force: 6 Key Differences - History Lists
Text: Chaka (@dna_chaka) - FM201702
Chaka (@dna_chaka)
世界の様々な出来事を追いかけるニュースサイト「Daily News Agency」の編集長。
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