連隊規模の部隊が発する電波がどのように見えるのか米軍の部隊指揮官が公開

ミリタリーブログサポートチーム

2020年06月05日 05:42



先日行われた陸上自衛隊の富士総合火力演習では、敵指令車両を傍受した電波から標定し、攻撃を加えるという1コマがあった。こうした電子戦技術で一体何が可能になるのか。アメリカ西部、カリフォルニア州フォート・アーウィンのナショナル・トレーニング・センター(NTC)で、仮想敵部隊(OPFOR)を務める第11装甲騎兵連隊の司令官が興味深い画像を公開している。

これは偽装網などのカムフラージュの重要性に関連して投稿された画像。偽装網は移動時に収納せねばならず役にたたないのではないかという問いに対し、砲塔の輪郭を崩すのは接近戦においては非常に重要であると偽装網のメリットを提示。さらに「より大きな問題」として、連隊規模の部隊が放つ電波シグネチャの画像を投稿した。



この画像は真夜中に12km先から観測されたもので、実際は真っ暗闇で視界は極端に悪いはずであるが、はっきりと展開している様子が分かる。この精度で位置が分かっていれば砲やミサイルなどでの攻撃はそれほど難しいことではないだろう。

例えば対ロケット弾・ミサイル防衛システムはその性質上強力な電波を使用しなければならないなど、電波の痕跡を小さくするのは難しい。司令官によれば電子機器の使用を控えるとともに散開して痕跡を小さくすることなどが重要であるという。また、逆にこうした痕跡を偽造する技術についても研究が行われているようだ。


なお偽装網は収納に時間がかかるというデメリットについては「そもそも収納する暇がないほどの奇襲をかけられるのは、何か別の問題がある」とのことだ。


電子戦分野は近年の軍事行動における最重要課題の一つである。通信傍受やレーダー妨害などは実用化されて既に久しいが、GPSの偽装やドローンのコントロール妨害、サイバー戦の領域まで含めれば情報ネットワークへの侵入やSNSの投稿監視など非常に高度な技術と知識が投入され、日々進歩を続けている。
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