米空軍のF-15EXのステルス性能はどのようなものか?
An F-15EX Eagle II (For Illustration Purpose Only)
約10年前、米空軍はボーイング社に数百機のF-15EXイーグルⅡの将来的な製造を依頼した。当機は50年もの歴史をもつ戦闘機の改良型であり、近い将来にF-15の後継機になりうる機体である。
F-15系列には既にF-15SEサイレントイーグルが存在しており、レーダーを反射する角度を調整した大型でずんぐりしたツインエンジンと丸型のエンジンノズルが特徴的である。
F-15EXはこのステルス技術を取り入れる可能性が大いにあるが、当機は現代のステルス機よりもさらにステルス性を高めた機体となる見込みである。
ボーイング社は当社製X-32がF-35との開発競争に負けて以降、新たな戦闘機を開発していなかった。しかしながら、技術者は下記の3つの観点から戦闘機のステルス性能を向上させる機会を模索していた。
・機体の燃料タンク部分に更なる内部弾薬庫を追加できる空間を作ること。
・機体そのものがレーダー波を放出することで位置がばれてしまうため、受動的な赤外線センサー(パッシブ方式)をレーダーの代わりに搭載することでステルス性を高めること。
・F-15SEの機首部分に使用されているレーダー波吸収材を使用することでF-15EXのレーダー反射断面積(RCS)をF-35と同等にすること。
2001年にはステルス戦闘機としてF-22とF-35しか購入しなかった米空軍が2019年にはF-15EXの購入を決めたことで、ボーイング社は上記の仕様を含めた新型戦闘機の試験を行うチャンスが得られた。これにより、サウジアラビアのF-15SAやカタールのF-15QAがこれまで抱えていた内部武器庫未実装の問題などもまた、新型機の購入によって解決される可能性がある。
現在、米空軍は少なくとも144機のF-15EXを250機程のF-15C/Dと入れ替える必要がある。これは予算の都合も考慮しつつ徐々に行われる予定であり、機体の入れ替えと同時に新型機で構成された航空隊に新型の超音速対地ミサイル(
参考記事)や開発中の大型空対空ミサイル(
参考記事)を配備する検討も行っている。これはF-15EXが、従来の他の戦闘機とは異なり、これらの新型兵器を搭載するのに十分な大きさの武器庫を有しているためである。
さらに、F-15EXは強力なレーダージャマーも搭載可能である。これにより、敵のレーダー探知から逃れ、敵航空機の迎撃を受けずに通過することが可能となる。
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