日本向けのグローバルホーク2号機が追加の試験飛行に成功

ミリタリーブログサポートチーム

2021年07月01日 15:52


RQ-4B Global Hawk (For Illustration Purpose Only)

 ノースロップ・グラマン社(米)は、今年4月に行われたRQ-4Bグローバルホーク2号機(以下、当機)の初飛行に続き、6月24日に追加の飛行試験を成功させた。

 当機は日本向けの無人航空機(UAV: Unmanned Air Vehicle)であり、下記のような特徴をもつ。

1. 高高度/全天候に対応 
 最大高度18kmおよび全天候で飛行可能であり、過酷な環境下での任務に対応可能である。

2. 長寿命のエンジン
 ロールスロイス社製AE3007ターボファンエンジンを搭載しており、2300万時間以上の耐久性が実証されている。

3. 燃料加熱システム
 燃料用暖房システムが燃料の凝固を防ぎ、高価な専用燃料や危険な添加剤を使用する必要がなくなる。

4. 最適化された翼幅
 約40mの翼幅は効率的な長距離飛行を可能にし、燃料補給なしで32時間以上飛行することができる。

5. 合成開口レーダー
 移動中に送受信を繰り返すことによって識別能力を向上させた合成開口レーダー(SAR: Synthetic Aperture Radar)を搭載し、高高度からの正確な偵察が可能である。

6. 電子光学/赤外線カメラ
 高解像度カメラが高高度から地上の正確な位置を特定可能であり、赤外線カメラと統合することによって日中だけでなく夜間の仕様も可能となった。

7. 堅牢な通信システム
 民用および軍用の様々な衛星と連携することで、接続が切れることなくほぼリアルタイムの通信が可能である。

 今後、飛行試験等を重ねた上で日本にて導入される見込みであるが、正式な納入日程は未定である。
松井の所見:
 本記事で紹介されたグローバルホークは米国で多くの運用実績を持つ機体であり、2011年3月に起きた福島第一原子力発電所の事故では同施設上空を飛行し、被害状況の把握に貢献している。現在試験中の2号機は最新技術を搭載したハイテク航空機であり、2011年当時よりも性能は格段に上がっている。日本での導入時期および納入機数はどちらも不明だが、このような高性能無人機は無人兵器システムの導入が遅れている日本にとって非常に頼もしい。有人航空機が1年間に約1000回ものスクランブル発進をしている日本の現状において、無人機は領空防衛に新しい対応策をもたらしてくれるかもしれない。2300万時間の耐久性(本当だろうか?もし本当なら全部このエンジンに換えればいい気がする)をどのように実証したかは不明だが、長期間使用できる信頼性の高いシステムは日本の防衛力に大きく貢献する可能性が高いと私は考えている。

Source:
Northrop Grumman Completes Successful First Flight of Japan’s Second RQ-4B Global Hawk - Northrop Grumman
Northrop Grumman Infographic BACN - Northrop Grumman
RQ-4 GLOBAL HAWK SYSTEM CAPABILITIES - Northrop Grumman


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Matsu (@mattsannENG)
原子核工学を専攻し、量子光学まで専門性を発展させる。その後、航空系防衛製品の輸入関連に従事。現在は田村装備開発(株)のミリブロ担当としてNews記事を執筆している。
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