米陸軍がPAC-3ミサイルによる模擬巡航ミサイルの撃墜に成功

ミリタリーブログサポートチーム

2021年07月21日 15:00


The PAC-3 family of missiles (For Illustration Purpose Only)

 ニューメキシコ州(米)で行われたミサイル試験で、米国ロッキード・マーティン社製のPAC-3(Patriot Advanced Capability-3)システムのミサイルが模擬巡航ミサイルの撃墜に成功した。
 
 試験ではPAC-3システムがF-35戦闘機と連携し、目標のミサイルを探知・追跡・撃墜までの一連の迎撃を行った。当試験では、F-35はPAC-3システムおよびミサイルの遠隔センサーの役割を果たした。

 ロッキード・マーティン社によれば、F-35が搭載する情報システムの支援によってPAC-3システムの追跡能力は向上し、PAC-3ミサイルと航空戦力を統合した米国のミサイル防衛能力はさらに向上したとのことである。

 戦闘実績のある衝突破壊技術(Hit-to-Kill Technology)の特徴として、PAC-3ミサイルは戦術弾道ミサイル・巡航ミサイル・航空機を含む飛翔体に対する防御に有効である。幾度の性能向上を施された現行のPAC-3システムおよびミサイルは、コスト面が改善され、新型のロケットモーターを搭載することにより、有効射程範囲が拡大した。

 PAC-3計画の責任者の一人であるブレンダ・デイビットソンは、「今回の試験によって、地対空ミサイルと航空戦力の連携が米軍の全領域統合作戦(Joint All Domain Operations:空軍、陸軍、海兵隊、海軍および宇宙軍の全てが参加する作戦)に多大な影響を与えることが分かった。世界最先端の戦闘機と実績ある衝突破壊技術が共に戦うことで、その防衛能力は飛躍的に向上する。」と述べている。

 今回の試験によって、F-35の情報・監視・偵察機能から得られる目標の追跡データが防空システムの状況認識能力を向上させ、PAC-3システムと航空機の連携によってPAC-3ミサイルが目標を撃墜する可能性がさらに高くなることが明らかとなった。高度な技術が使用される現代の作戦では、陸海空および宇宙領域の隔たりがなくなりつつある。
松井の所見:
 情報システムの発展により、様々な軍事製品が連携できるようになった。本記事で紹介された通り、航空機と地上兵器が互いに情報共有することで、防空システムはさらなる性能向上を実現した。製品単体での限界を複数の機器での連携によって克服する良い例だと思う。戦闘の展開が非常に早くなった現代戦において、各軍が領域を隔てることなく作戦を遂行する戦い方は非常に重要なのではないだろうか。

出典: アーミー・テクノロジー「PAC-3 intercepts surrogate cruise missile threat in US Army flight test」


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Matsu (@mattsannENG)
原子核工学を専攻し、量子光学まで専門性を発展させる。その後、航空系防衛製品の輸入関連に従事。現在は田村装備開発(株)のミリブロ担当としてNews記事を執筆している。
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