兵士の歩行でバッテリー確保、電力再生装置SPaRKを開発

ミリタリーブログサポートチーム

2012年01月10日 15:43

生物力学、ロボット工学を専門にする SpringActive社 では、戦場で任務に就く多くの兵士が長年苦しんできた、バッテリーによる電力確保の問題を解決する装置の開発を、米陸軍 Natick Soldier Research と共に手掛けている。

夜間での戦闘をはじめ、戦況を有利に展開させるに当たって欠かすことの出来ない電子装置。兵士のハイテク化が進むに連れて先進の技術を結集した電子装置は、当然のことながらバッテリーにより駆動する。兵士らは電子装置によるこれら科学技術の恩恵を享受するため、バッテリー確保が大きな意味を持つ。

また一方では、戦いを有利に進めるために、装備を少しでも軽量化することも重要となる。米国 ARL (Army Research Laboratory:陸軍研究所) によると実際にアフガニスタンで展開中の米軍兵士の場合、暗視装置関連や GPS, Imaging Systems, 通信機器 といった装備を使用する為には、72時間の任務において 70個ものバッテリーを必要とし、これだけでも 約9kg の荷重が加わると試算している。

増えるバッテリーは、兵士の疲労面だけでなく、コスト面においても大きな負荷となる。事実、陸軍の大隊クラスでは、軍需物資の中でもトップクラスの費用となる 年間 15万ドル (約1,100万円) を必要としているという。

そこで、これらのような問題を多角的に解決すべく開発された "SPaRK" (Soldier Power Regeneration Kit) は、生体力学的エネルギーを利用した電力発生装置で、開発中のプロトタイプでは、3mph (時速 3マイル=時速 約4.8km) の歩行 で 6~9 wat を発生することができるとし、AAバッテリー (単三電池) 2本 を 85分間 駆動するのに十分な電気量としている。

同社では、歩行の度に生じる物理的エネルギーを電気エネルギーへと変換する、これと同様の装置を民間用モデルとしても手掛けているという。

Energy Harvesting Journal by IDTechEx 2011/12/06
Design News 2011/11/21

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