雑音の中でも精確に会話を盗み聞き、米大学研究「寄生ハエ」の鋭い聴力を模倣した軍用の補聴デバイスを開発

ミリタリーブログサポートチーム

2014年07月24日 19:15

米大学研究でハエの聴覚構造の生物模倣技術 (biomimetics, バイオミメティクス ) により、次世代の補聴デバイス開発が進められている。

テキサス大学オースティン校の研究者らによって進められているのは、北米大陸に生息しているハエの一種「ヤドリバエ (Ormia ochracea) 」。このヤドリバエは、他のハエとは異なり、ヒトの耳と同じように音圧を感じ取る鼓膜を持っており、その独特の構造から、鋭い方向感覚を持っている。

ヤドリバエは捕食性の寄生昆虫で、そのメスは産卵の為に他の昆虫を襲うことが知られている。絶好のターゲットとなるのはオスのコオロギ。オスのコオロギは、背中の翅を擦り合わせ、共鳴させることで美しい音色を奏でるが、この音色を頼りに襲撃し卵を産み付け「宿主」とする。その後、コオロギの体に産み付けられた卵はやがて幼虫になり、体内に侵入し中身を食い破って成長する。

ヤドリバエの耳は、両耳の間隔が 2 ミリメートル以下にあり、100 万分の 4 秒という極短時間で感知できるシーソーのような構造が特徴で、音の発生源となる位置を素早く精確に探知することができる。研究チームでは、この構造を模倣して、全長 2.5 ミリメートル程度の装置を設計。

更なる技術的な改良を加えた後、雑音の中でも精確にターゲットの会話を聞き取れるような軍事用途での開発に弾みを付けたい考え。

University of Texas at Austin 2014/07/22
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Scinence Newsline Technology 2013/05/31
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