スーパーキャビテーションを利用した高速のステルス船『ゴースト』
ジュリエット・マリーン・システムズ (Juliet Marine Systems) というある小さな会社が、沿海域戦闘艦 (LCS、Littoral Combat Ship) に取って代わる、新しい船の開発を計画していると、『Businessweek』や『Defense Update』などが報じている。
同社は米国ニューハンプシャー州のポーツマスに本拠地を置く会社で、医療技術系の会社で財を成した Gregory Sancoff 氏によって、 2008 年に創設された。
同社はわずか 18 人の従業員から始まり、『ゴースト』と名付けられた革新的な船を開発した。『ゴースト』の全長は約 12 mで 、船体はステルス性を意識した平面で構成され、またアルミニウムとステンレス鋼を使っていることから磁気を持たず、磁気ソナーによる探知も難しくなっている。
もうひとつの特徴は、船体の側面に突き出た翼のような構造物の下に装備された、魚雷のような形をした部分だ。これが推進機関で、先端からスーパーキャビテーションを発生させることで、最大 50 ノットのスピードを出すことができるという。原理はかつてソヴィエト連邦が開発した超高速魚雷シクヴァルと同じだ。
『ゴースト』は現在も開発・試験中だが、同社では沿海域戦闘艦の後釜を狙った、『スーパー・ゴースト』の開発計画を持っているという。
沿海域戦闘艦は今年初めに調達数が 52 隻から 32 隻へと大幅に減らされ、代替計画が立ち上げられることになった。そこに同社は『ゴースト』を大型化した『スーパー・ゴースト』を売り込もうとしている。全長は 46 m にもなる一方で、 1 隻当たりの価格は約 5,000万 ドルと、 2 種類ある沿海域戦闘艦のうちのひとつ、インディペンデンス級の 1/6 の価格になると見積もられているようだ。
Businessweek 2014/08/21
Defense Update 2014/08/24
Photo: Special Operations "GHOST" / Juliet Marine Systems
Text : 鳥嶋真也 - FM201409
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