米スタンフォード大、垂直ガラス壁も容易に登れる「ヤモリ」に倣ったグローブを開発

ミリタリーブログサポートチーム

2014年11月20日 15:54

ロープやハシゴを使わず、兵士がビルやガラスの壁面を登ることを可能とする、未来のアーバン戦闘を見据えた研究が、米大学研究チームにより進められてきた。

これはDARPA (Defense Advanced Research Projects Agency: 米国防高等研究計画局) 支援「Z-Man プログラム」の下で、米スタンフォード大学のバイオメトリクス・マニピュレーション研究所 (Biometrics and Dexterous Manipulation Lab) により進められていたもの。

生物界きっての「壁のぼり名人」である爬虫類「ヤモリ (gecko) 」をお手本としている。
ヤモリは、手の平、足の裏に「吸盤」ではなく、数十万本とも言われる無数の剛毛が敷き詰められ、その中で生じた「ファンデルワールス力 (Van der Waals force) 」と呼ばれる分子レベルの引力 (attraction) (と斥力 (repulsion) ) を利用して、垂直に反り立つガラス面でも滑り落ちることなく自由な移動を可能としている。

同研究チームでは、このファンデルワールス力を活用する為、全高 100 μm 程から成るジメチルポリシロキサン (PDMS: Polydimethylsiloxane) による「マイクロウェッジ (microwedges) 」と呼ばれる小さなタイルを創り出した。これにより、本家ヤモリより高効率で、乾燥状態での吸着を実現することに成功している。

テストでは 70 キログラムのクライマーが、140 平方センチメートルの吸着シリコーンパッドをその両手に使い、垂直に 3.6 メートルの高さがあるガラス壁を登ることに成功。幾度となく繰り返しおこなわれたこの試験は、一度も失敗することがなかったと伝えられている。

映画やアニメ、テレビゲームの世界で描かれていた夢の技術の実現に、今後の展開を期待せずにいられない。

Royal Society journal Interface 2014/11/09

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