2015年04月09日 13:27
現行の自動小銃「M4」は実に30余年の間制式の座を守り続けているが、さらにその寿命をのばすべく進められていた「M4A1-Plus(略: M4A1+)」計画について、米陸軍契約司令部(Army Contracting Command)が要求仕様を公開し、市場調査を開始した。
さらに「M4小銃の改良」については現在フェーズ1として、M4小銃をM4A1小銃に改修するキットの配備が進行している。今回発表された「M4A1-Plus」は、このプログラムのフェーズ2にあたるものである。
「M4A1-Plus」は現在発売されている既成のカスタムパーツ(NDI……Non-Development Items)で改修キットを構成するものとしている。今回はあくまで市場の調査、サンプルの採集に留めるとしているが、民間用AR-15カスタムパーツのノウハウを広く吸い上げようという意欲を感じる仕様となっている。
a. 命中精度
バレル下に何もアクセサリを装着しない状態で300メートルで平均着弾半径5インチ、その内9割が縦横5インチに着弾すること。さらに600メートルでは9割が縦横10インチに着弾すること。
(注:300mで半径5インチの集弾は計算上約3MOA、つまり標準的なドットサイトの点の内側に着弾する性能である。)
b. ハンドガードレールの改良
上部にMIL-STD-1913(「ピカティニー」)規格のレールを固定し、照準器用にナンバリングすること。
b-1. 長さは12プラスマイナス5インチに延長し、バレルはフリーフロートにすること。アンダーバレルウェポンは銃身に触れることなく装着できるようにすること。
b-2. 上部以外の3面のレールは取り外し可能とし、3インチ、5インチ、7インチなどのレールアダプタを介してアクセサリを取り付け可能とすること。
b-3. 照準器、ないしその補助器具(enabler……マグニファイアなど)を1MOA以下の誤差で脱着できること。
b-4. 黒ではなく自然な(neutral)色であること。ざらつきがあり、反射しないマットなコーティング、ないし表面加工を施すこと。色はコヨーテ498からコヨーテ481以上に薄くない色とする。
b-5. NBC汚染とその除染過程、その他腐食に耐性があること。あらゆる天候、環境(海、砂漠、多湿地帯)に耐えうるものであること。
b-6. ガスブロックはロープロファイルなものであること。現行のM4A1のヘビーバレル、ガスチューブと互換性があること。
b-7. 前部にスリングマウントを設けること
c. バックアップサイトの改善
取り外し可能で、装着時は折りたためること。200m以下、200~300m以下に対応した遠近切り替え式であること。上下左右の調整が可能で、有効射程600mを満たすこと。
d. フラッシュハイダー/マズルブレーキの改善
視認性を下げ、ナイトビジョンへの影響を小さくするため発射炎を抑えられること。ブランクアダプタを装着可能なこと。
e. チャージングハンドルの改善
持ち手部分を大型化し、レシーバー内からのガスや潤滑剤の吹き戻しを防ぐことができるようにすること。ラッチを大型化し、左右からの操作性を改善すること。またこれらの改修によって標準的な照準器の視界を遮らないこと。
f. 重量
弾薬・アクセサリのない状態で8ポンド(約3.6kg)に収めること
(注:現行のM4は約6ポンド(約2.7kg))
g. 信頼性
現行のものと同等、あるいはそれ以上の信頼性を達成すること
h. トリガーモジュールの改良
シングルステージ式で、シアが落ちた後のクリープ(遊び)がないもの。トリガープルは4から5ポンドで、引き始めから終わりまで重さが変化しないもの。セミ・フル切り替え式とする。現場メンテナンス要員が交換できる構造であること。
また、このトリガーモジュールはM4A1+キット以外でも、単体で調達・配備の予定である。
i. 月あたり可能な最大・最小生産量、リードタイムの申告
製造能力の確保にあたり設備投資が必要になるようであれば、その点も申告すること。
Chaka (@dna_chaka)
世界の様々な出来事を追いかけるニュースサイト「Daily News Agency」の編集長。