米陸軍、射手の腕の震えを制御し射撃精度の向上を図る「MAXFAS」エクソスケルトンを研究
米陸軍研究所 (ARL: Army Research Lab) で、兵士が銃を撃つ際の腕の震えを抑えることで、射撃精度を向上させる、カーボンファイバーを使ったエクソスケルトン (exoskeleton) の開発が進められている。
MAXFAS (Mobile Arm eXoskeleton for Firearm Aim Stabilization) と呼ばれるシステムがそれで、元々は脳卒中患者のリハビリ目的に向けて研究された技術が活かされている。
MAXFAS の開発を手掛けるのは Dan Baechle 主任研究員。同氏がデラウェア大学の機械システム研究室で、修士論文のプロジェクトとして進めていた係留脚 (tethered leg) スタイルのエクソスケルトンがそのアイデアの発祥となっている。
これは ALEX および ALEX II と呼ばれる脳卒中患者のリハビリに向けたもので、MAXFAS エクソスケルトンでは、その歩行制御の原理を応用している。
MAXFAS は、僅か 280 グラムほどの重さの炭素繊維複合材料でできており、内蔵されたモーターによって 6 本のケーブルが腕の動きを補正。射手が気付かない程の僅かな震えを感知し、その制御アルゴリズムによって劇的に振動を減らすことができるとしている。
15 名の射撃に不慣れな被験者を用いた比較試験がおこなわれており、陸軍で制式採用されている M9 ピストルと同重量に似せたエアソフトを用い、MAXFAS の着用効果を確かめたところ、15 人中 14 人で射撃精度の向上が確認されている。射撃精度は、平均で 27% 向上したとのこと。
また、一旦 MAXFAS を脱ぎ、5 分後に再び射撃させたところ、12 人の被験者において当初よりも 15% の射撃精度の向上がみられる結果となっている。
一方で対照的に、MAXFAS の装着をしたことが無い射手では、同じ射撃数でも、射撃回数が進むにつれて腕が疲れ、そのまま射撃精度の低下に繋がる結果となっている。
DoD Live 2015/06/08
Arts Technica 2015/06/09
Popular Science 2015/06/02
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