弾薬 3,000 万発、ハンビー 2,200 輌、「麻薬戦争」対策のメキシコが FMS で米国に急接近
過去に例を見ない勢いで軍装備品の拡充を図るメキシコ。列車 27 輌分に満載の弾薬がメキシコの地で積み下ろされ始めた。米北方軍 (NORTHCOM: Northern Command) のウィリアム・ゴートニー (William Gortney) 司令官によると、「メキシコは購入意欲が高く、ここ数年でその装備調達は 100 倍にも達している」とのこと。
米国とメキシコは、安全保障分野では「遠慮がちな関係」だったが、「麻薬戦争」対策を背景に、メキシコでは軍や警察装備の近代化が喫緊の課題となっている。前職のフェリペ・カルデロン元大統領と、現職のエンリケ・ペニャニエト大統領と、2 代に渡って政権が麻薬カルテルとの戦いに強硬姿勢を切っており、2012 年 12 月に発足した現政権下で、30 ~ 40 年は遅れを取っている陳腐化した軍装備品のリプレイス計画を推し進めている。そこで、欧州や民間での依存傾向から FMS (Foreign Military Sales, 有償援助調達) を通じた米国からの装備調達へ弾みが掛かっている。
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2013 年後半にメキシコは、5.56mm 弾薬の大量発注をおこなっており、これが 1 つの大きな転機となって、空・海軍用に UH-60 ブラックホークヘリコプター × 24 機以上、軍用車両ハンビー × 2,200 輌以上といった大型発注に続いていると言う。
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米テキサス州と国境を臨むタマウリパス州や、中部のハリスコ州で勢力を拡大させている新世代ドラッグカルテルとの攻勢を強めており、ここ 10 年で投入されている予算はうなぎ上りにあるとのこと。2006 年では 26 億ドルだったのが、今年の予算ではその 3 倍以上の 79 億ドルにも跳ね上がっている。
一方の麻薬カルテル側では、その潤沢な資金から、時に政権側以上の重武装をしていることもある。最近ではメキシコ軍のヘリコプターが麻薬カルテルの放ったロケット弾によって撃墜されてしまう事態も発生している。
Washington Post 2015/06/15
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