ロッキード社がヘリコプター製造大手シコルスキー社を 80 億ドルで近日に買収合意の可能性

ミリタリーブログサポートチーム

2015年07月15日 18:43


DoD photo by Spc. Brandon D. Bolick, U.S. Army. (Released)
Image is for illustration purposes only.
世界最大の防衛企業である米国のロッキード・マーティン (Lockheed Martin) 社が、同じく米国のヘリコプター製造大手であるシコルスキー・エアクラフト社 (Sikorsky Aircraft) を近い内に 80 億ドル (約 9,800 億円) で買収するという話が持ち上がっている。

シコルスキー社については、今年 3 月に親会社であるユナイテッド・テクノロジーズ社 (UTC: United Technologies) から分離・独立によるスピンオフの検討が報じられていた。

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ユナイテッド・テクノロジーズ社、シコルスキー社の独立を検討

買収事案の背景にはイラク・アフガニスタンでの戦争が段階的に縮小したことと、原油価格の崩壊が影を落としている。原油価格との因果関係については、沖合にある石油掘削施設が稼働減少したことにより、作業員の送迎に使われていたヘリコプターの需要が煽りを受けたことが示されている。なお、シコルスキー社の売上構成は、軍事部門 7 : 非軍事部門 3 の比率となっている。
今回の買収事案については、ロッキードの他にテキストロン (Textron) やボーイング (Boeing)、エアバス (Airbus) も名乗りを上げていたが、ボーイング、エアバスの両社は既に離脱しており、テキストロンとロッキードが残った格好となっている。しかし、時価総額が約 120 億ドルとされるテキストロンが 80 億ドルの買収事案を実行することは難しいと考えられ、ロッキード社が最有力とされている。(一方のロッキードの時価総額は 600 億ドルと見積もられている)


Sikorsky Aircraft Corporation official website
1925 年、ニューヨークのロングアイランドで創業したシコルスキー社は、ベストセラーである Black Hawk ヘリコプターの開発などで知られる世界最大のヘリコプター製造企業の 1 つ。米国防総省向け回転翼機の納入では最大規模を誇っている。昨年度の売上は 75 億ドル。

80 億ドルの買収事案が成立した場合、1995 年のマーティン・マリエッタ (Martin Marietta) 社を約 100 億ドルで買収して以来の大型案件となる。

Reuters 2015/07/08
Wall Street Journal 2015/07/10
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