「RPG-7」コンパチ製品を開発する米国企業が AUSA で新型モデル「PSRL」を展示

ミリタリーブログサポートチーム

2015年10月15日 14:21


Photo by AirTronic USA, Inc
ワシントンで開催された年次総会・AUSA 2015 の席で、米軍向け RPG-7 のコピー製造を手掛ける AirTronic USA, Inc が、新型モデル「PSRL (Precision, Shoulder-fired Rocket Launcher) 」から 2 種を発表した。

PSRL は、AirTronic USA 社が RPG-7 のコピー品を開発する中で培ってきた技術や経験を下地に、「アメリカンナイズ」にブラッシュアップしたもの。有効射程は旧ソ連による開発設計だった RPG-7 が 200 メートル程、またその派生型で現行モデルの RPG-7V2 が 700 メートル程であるのに対し、800 メートル以上に改良されている。

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Photo: AirTronic Precision Shoulder-fired Rocket Launcher (PSRL-1)
発表のあった 2 種の内の 1 モデル、PSRL-1 は、同社既存の RPG-7 との互換システムを持ち、低照明下での利用を想定したイルミネーション・レティクルを搭載した新型の照準システムを装備することが見込まれている。またもう 1 つのモデル、PSRL-2 は、現行仕様では 1,000 発の発射を可能としているそのライフサイクルを延伸させ、耐久性の向上を図った新型デザインになる。

両モデル共に長距離射程における精度向上を図る目的から、EOTech 社の光学ドットサイトと拡大鏡 (マグニファイアー) を併せて利用することが可能になる。また同社の RPG-7 互換製品と同様、ピカティニーレール対応による各種アクセサリー類の使用や、M16 / M4 スタイルの銃床 (バットストック)、グリップの利用など、その拡張性の高さに特徴を持つ。いずれも非対称戦下での利用が見込まれている。

AirTronic USA 社によってカスタムデザインされた光学サイトとの統合によって、800 メートル離れたターゲットに対する初弾発射時の命中確率は 90% を誇る。これは他の RPG と比べて 2 倍以上の精度に当たるとし、自信をみせている。

PSRL は 2016 年第二四半期での生産開始が見込まれている。


Photo: Rebels in the north of the Central African Republic, via Wikimedia Commons
Image is for illustration purposes only.
RPG-7 は現在までにおよそ 900 万挺以上が製造され、世界中のありとあらゆる紛争地域で利用されている。そのオリジナルはロシアの Bazalt 社が開発・製造を手掛けている。


JSC "SPA" Bazalt official website
Bazalt は、1938 年 4 月 21 日、迅速で有効な航空機用爆弾の開発を提供すべく、ソビエト連邦人民委員会議の国防委員会を通過し、連邦設計局 #47 (SUDB-47) が創設。

2012 年 12 月以来、同社はロシアの「ロステク (Rostech) 」を唯一の株主とする「公開株式会社 (JSC: Joint Stock Company) 」となっている。(ロステクは、ハイテク産業の強化・発展を軸として国防産業の再建を目指すプーチン大統領が、元 KGB のセルゲイ・チェメゾフ (Sergei Chemezov) 氏を参謀として 2007 年に創設した軍事・産業・金融複合企業体)

「科学生産連合 (SPA: Scientific Production Association, or NPO: Nauchno Proyzvodstvennoe Obyedineniye) 」の Bazalt 社は、非誘導式の航空機用爆弾、グレネードランチャー、迫撃砲弾薬、手榴弾などが主要品目。現在までに 800 モデル以上の弾薬を開発しており、世界 100 ヶ国以上の軍隊に弾薬を提供している。

Defense Update 2015/10/14
PRNewswire 2015/09/22
About JSC "SPA" "Bazalt" (1)
About JSC "SPA" "Bazalt" (2)
About Rostec / Japan Ministry of Economy, Trade and Industry
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