H&K が G36 自動小銃のサウジ向け輸出遅延で政府機関を相手に法廷闘争へ
世界的小火器メーカーのヘッケラー&コッホ (H&K: Heckler and Koch) 社が、ドイツ連邦政府を相手取り訴訟を始める。
これは、北ドイツ放送 (NDR) とドイツ公共放送連盟 (ARD) が、日刊紙のズュートドイチェ・ツァイトュング (Süddeutsche Zeitung) とおこなった共同調査により明かされたもので、訴訟の相手先は、経済省の下部組織である「連邦経済・輸出管理庁 (BAFA: Bundesamt fuer Wirtschaft und Ausfuhrkontrolle) 」となっている。
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同社の訴えは、サウジアラビア向けに輸出するはずだった G36 アサルトライフルの組み立てに必要な 5 つの部品について、政府が承認をしなかったことが挙げられている。
2008 年、当時のメルケル政権では、サウジアラビアでの G36 製造に向けた輸出承認が下りたが、2014 年半ばになってジグマール・ガブリエル (Sigmar Gabriel) 経済相が、中東情勢の緊張を背景に、武器輸出に対して慎重な姿勢を公約に掲げている。
売上の多くを輸出に依存している H&K 社にとっては、こうした政府の輸出承認の方針転換が死活問題にもなり兼ねないと、危機感を露わにしている。
ドイツの法律では、「客観的・合理的な時間内に、正当な理由なしで決定された事案」について企業が政府を相手取り訴訟を起こすことが出来る。同社は以前より、長期間に渡って輸出承認が下りなければ、それにより生じた損害賠償請求をおこなうと表明していた。
Süddeutsche Zeitung 2015/10/29
Deutsche Welle 2015/10/29
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