ヨルダンの大学研究チームが、テロリストの「V サイン」から個人識別する技術を開発中

ミリタリーブログサポートチーム

2016年03月11日 18:09


Photo: AFP/Getty Images
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生体認証プロファイリングの身近な例として真っ先に挙げられるのは「指紋」。しかし、技術の進歩と共に、最近では耳や目 (虹彩認識)、鼻など人体の一部の形状や、声紋、歩き方など人によってクセが出る動きなどを個人識別のカギとする新たなアルゴリズムの構築が進んでいる。


Photo: Iris recognition / U.S. Air Force Staff Sgt. Dennis J. Henry Jr.
マサチューセッツ工科大学は技術雑誌 (MIT Technology Review) の中で、ヨルダン ムタ (Mu'tah) 大学のアフマド・ハッサナト (Ahmad Hassanat) 氏を中心とした研究チームが進める「V サイン (V for victory signs) 」から個人識別をおこなうという、ユニークな生体認証技術を紹介した。
テロリストなど武装勢力のメンバーの多くは、マスク使うなどして顔を隠していることが多い。また、V サインは、テロリストもビデオやスチールカメラで撮影する際にしばしば用いることから、メンバーの個人特定に繋がる可能性を秘めるとして、軍事・安全保障分野での利用に期待が寄せられている。


Image: MIT Technology Review
研究ではまず、人によって異なるこれら V サインを識別する為に、様々な指のサイズや形状、そのアングルなどをケーススタディ化して、AI (Atomics International, 人工知能) にインストール。顔が隠れているテロリストであっても、V サインを示す画があれば、人物の特定に繋がるようアルゴリズム化している。

研究チームは、50 名の男女を被験者として右手の V サインをサンプリング。人差し指と中指それぞれの長さと、V 字の谷間となった部分の距離、手の中における 2 ヶ所の位置といった 3 つの要素を計測。V 字により出来た三角形を基に様々な形状に変換して分析。AI には、これら三角形の形状特定をおこなう為に 16 種の統計手法が用いられている。

こうして出来上がった新たなアルゴリズムの下、V サインによる個人識別の分析能力は 40 ~ 90% の精度が提供されており、研究開始の滑り出しは上々となったようだ。

MIT Technology Review 2016/03/08
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