米大学研究チーム、「複合金属発泡体 (CMF) 」を使った軽量で強固な防弾アーマーを開発

ミリタリーブログサポートチーム

2016年04月19日 13:53

ノースカロライナ州立大学の研究チームが、超強固なアーマー素材を開発。実弾を使ったその試験映像を公開した。

「複合金属発泡体 (CMF: Composite Metal Foam) 」と呼ばれるこの素材は、機械・航空宇宙工学で教鞭を執っているアフサネフ・ラビエイ (Afsaneh Rabiei) 教授を中心に、数年に渡って開発し、CMF の持つ特異な性質を調査している。その結果、従来のプレート型アーマーと比較して、軽量化と強化性能の向上という両面を実現している。

映像では、司法省の装備調達基準である NIJ (National Institute of Justice) 規格に則りおこなわれ、.30-06 M2 アーマーピアシングを使って撃ち込んだ様子をスローモーション映像で記録。CMF を使った複合アーマーは、僅か 1 インチ (=約 2.5 センチメートル) に満たない厚みで停弾を実現しており、その背面には 8 ミリメートル以下の凹みがが現れたとしている。なお、NIJ 規格 (0101.06) では、背面衝撃痕 (デフォネーション, 凹み) は 44 ミリメートルを最大としている。

Photo: Composite Metal Foam /
(C) Afsaneh Rabiei, Advanced Materials Research Laboratory Mechanical and Aerospace Engineering NCSU
CMF の研究については、昨年 7 月にオランダの科学技術電子ジャーナルに収録された論文要旨によると、ラビエイ教授らは「ハードアーマーシステム製造の為の先端素材の応用が、防弾性能における高いパフォーマンスの実現に導く」「軽量化と高い衝撃エネルギー吸収能力の追求においては、CMF が防弾アーマーとして良好な潜在的性能を秘めている」と記していた。

加えてその要旨には、「衝撃面側に炭化ホウ素セラミック (boron carbide ceramic) を、また、高速で飛翔してくる弾丸の持つ運動エネルギーの吸収材として粉末冶金 (powder metallurgy) 技術により形成された CMF を中間層に置き、そして「A7075」ことアルミニウム合金の一種である超々ジュラルミンまたは、ケヴラー製パネルをバックプレートに利用し、合計でも 25 ミリメートル以下に抑える」記載されていた。

当時の実験結果で CMF は、弾丸の持つ運動エネルギーの 60 ~ 70% の吸収したことが示されており、7.62×51mm M80、7.62×63mm M2 AP 両方において NIJ 規格を上回る停弾を実現している。また、軽量・強固である特性を活かした防弾アーマーとしての利用以外に、超高熱への耐性と、放射線 (X-線、γ-線、中性子線) に対する遮断性を活かした研究も同時に進行している。
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