「ドイツ・G36自動小銃スキャンダル」H&K社が「欠陥は存在しない」と訴訟を提起

ミリタリーブログサポートチーム

2016年06月13日 19:56


Foto: Bundeswehr/ Twardy
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ドイツ軍の制式採用自動小銃G36のスキャンダルに関し、製造元のH&Kが「欠陥は存在しない」という旨を改めて確認する訴訟を、2016年6月3日、軍の兵站局があるコブレンツの裁判所に提起した。

スキャンダルは2012年、独シュピーゲル紙のスクープに端を発する。連射した後、加熱した状態ではG36自動小銃の命中精度が極端に落ちるという内容であった。

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H&K社は否定するがその後Bild紙がこの現象を確認したとする軍の内部報告書の内容をスクープ、その後欠陥の有無についてだけでなく、スキャンダルにまつわる陰謀論などありとあらゆる噂が業界を駆けまわっている。調査の過程で、G36がメキシコに不法に輸出されていたことが明らかになりH&K社幹部が更迭されるなど、事態は単なるリコールにとどまらない勢いだ。

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肝心の「欠陥」については未だ決定的な答が出ていない。G36が輸出されているヨーロッパ諸国では独自に検査を行い「これからも購入を続ける」と声明を出していたり、サウジ政府は調査にともなう輸出遅延でドイツ政府を訴えるなど、H&K社を応援するような動きも多く見られる。検事側も「(欠陥の有無はともかく)納入時に要求仕様を満たしていたのであるから、そのことに違法性はない」とH&K社を擁護するコメントを出している。

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ドイツ国防大臣はG36自動小銃を廃止し、2019年までに新小銃を配備するとすでに発表している。国側の「次の1手」が注目されるところである。

Source: Heckler & Koch seeks court vindication over G36 accuracy | Germany | DW.COM | 03.06.2016

Text: Chaka (@dna_chaka) - FM201606
Chaka (@dna_chaka)
世界の様々な出来事を追いかけるニュースサイト「Daily News Agency」の編集長。

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