レイセオン社 M60パットン戦車向けアップデートキット「SLEP」を開発

ミリタリーブログサポートチーム

2016年06月29日 12:06

初代登場以来50年近く、何度も改修を経て今も現役戦車として活躍するM60パットン戦車のアップデートキットの動画をレイセオン社が公式チャンネルで公開している。
M60は今も中東・北アフリカを中心に現役である。こうしたユーザー諸国の仮想敵国においてT-90のような最新鋭戦車の導入が予想されているが、これに対応できるM1エイブラムスやレオパルド2といった戦車は、非常に高価であり導入が難しい。

今回発表された「SLEP(Service Life Extension Program……耐用年数向上プログラム)」は、レイセオン社が以前、ヨルダン軍に納入したアップデート型M60であるM60 Phoenix(M60-120)をベースにしたもの。最新鋭戦車よりも安く、乗員の再トレーニングも不要なことから、トータルでのコストは約1/3になるという。


SLEPではまずエンジン出力を750HPから900HPに向上、同時に足回りの完全分解整備を行う。


主砲は105mmから120mmに強化。


砲塔の重量増をカバーし、反応速度を高めるため砲塔の駆動システムは油圧式より強力なモーター式に変更される。駆動システム自体も約1トンほど軽量になる。


さらに射撃管制装置はレイセオン社製にアップデートされ、正確かつ高速な射撃が可能になる。


レイセオン社の公式紹介動画はこちらから。
M60 Tank Service Life Extension Program - YouTube

なお今回のSLEPについてリアクティブアーマーやアクティブプロテクションシステムといった防御力の強化については触れられていない。高速化・高火力化によって敵戦車を圧倒するというコンセプトのようだが、イスラエルの独自改修型である「マガフ」には複合装甲を装備したモデルもあり、SLEPにもこうしたオプションが用意される可能性はある。

File:Magach-7-latrun-2.jpg - Wikipedia, the free encyclopedia

Source: Raytheon Can Turn Old American-Made M60A3 Tanks Into Killing Machines | The National Interest Blog
Raytheon Breathes New Life Into Patton Tanks
Text: Chaka (@dna_chaka) - FM201607
Chaka (@dna_chaka)
世界の様々な出来事を追いかけるニュースサイト「Daily News Agency」の編集長。

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