アメリカに亡命を求める初のアフガン人女性パイロット
U.S. Air Force photo/Master Sgt. Ben Bloker
アフガン空軍初の女性パイロット、ニローファー・ラーマニ(Niloofar Rahmani)は、18歳のときにその能力を認められ、アメリカのリトルロック空軍基地でC130輸送機のパイロット課程に派遣された。
リトルロック基地の第314輸送隊は、戦術輸送研究の「中核的研究機関」であり、国防省や沿岸警備隊、さらに同盟国にC130輸送機の運用を指導している。毎年1200名の訓練生を受け入れ、その中で150名が外国人である。まさにアメリカ国内最大の外国人パイロット養成機関であり、ラーマニもそこで学んだ。
先ごろ7年間の訓練課程を優秀な成績で修了したラーマニは、当然、アフガニスタンへ帰国し、同国空軍の指導的ポジションに着くことになっていた。しかし、ラーマニは帰国を拒否した。
「祖国の空を飛びたい。祖国のために働きたい。それは私が常に思っていることですが、しかし、アフガニスタンの国情(イスラム世界の厳しい男尊女卑の社会をさしている?)でそれを実現にするには命を懸けなればなりません」。
ラーマニの発言を受けて、アフガン空軍のアブドル将軍は、米国で訓練しているパイロットに、亡命しないように警告を発した。さらに亡命を希望したパイロットはアフガニスタンから追放され、再度、アフガンに入国した際は逮捕する、とさえ付け加えた。
米国メディアの取材に対し、アフガン空軍のスポークスマンであるジャラルディディン・イブラヒムケル少尉は、「訓練を終えたパイロットは本国へ帰国しなければならない」とだけ発言した。
現在、アフガニスタンは国を作るために、多くの優秀な人材をアメリカに留学させている。しかし、彼らがアメリカでの生活に慣れ、そのまま帰国しないと、単に人材が流出してしまうことになる。
「留学させなければ人材が育たず、留学させれば帰国しない」。アフガニスタンにとって悩ましい問題である。
Text: 友清仁 - FM201701
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