中央アフリカで展開中のグリーンベレーに航空機動力を提供する民間企業は「ブラックウォーター」の末裔

ミリタリーブログサポートチーム

2017年02月14日 14:04


U.S. Air Force photo by Airman 1st Class Ericka Engblom/ Released
This photo is for illustration purposes only.
米国防総省は2月6日、イリノイ州に本社を置く「エアリフト・グループ(AAR: Airlift Group)」との間において、2億_400万ドル(=約232億円)の契約を交わしたと発表した。契約は、かつて名を馳せた "傭兵企業" の末裔が、米軍特殊部隊と共に活動を継続していることを表している。
米国は2011年より、中央アフリカ、南スーダン、コンゴに跨って誘拐、人身売買、虐殺、レイプなど、蛮行の限りを尽くしてきた過激派組織、「神の抵抗軍(LRA: Lord’s Resistance Army」の首謀者であるジョセフ・コニー(Joseph Kony)容疑者の捕縛を目的とした「オブザーバント・コンパス作戦(Operation Observant Compass)」を仕掛けており、陸軍特殊部隊・グリーンベレー隊員100名を展開させている。コニー容疑者の「クビ」にはその後、米国務省から最大500万ドル(=当時のレートで約4.8億円)の懸賞金が掛けられている。

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これら特殊部隊の活動に非武装の「航空機動力」を提供しているのが、冒頭にあるエアリフト・グループである。同社はかつてイラク中に展開し、「PMC (Private Military Company)」の存在を広く世に知らしめた民間軍事会社「ブラックウォーター(Blackwater)社」の流れを汲んでいる。


Photo from SkyQuest International, LLC.
今年1月下旬、中央アフリカ共和国内で米軍特殊部隊の隊員を運ぶ機体ナンバー「N408RC」のシコルスキー S-61 ヘリコプターの目撃が報告された。連邦航空局(FAA: Federal Aviation Administration)の照会情報によると、機体ナンバーから「EPアビエイション社(EP Aviation, LLC)」の所有機であることが分かっている。

本件を詳報しているザ・デイリー・ビーストのライター、デービッド・アクセ氏によると、EPアビエーションは、2010年にブラックウォーターからエアリフト・グループに売却されているが、60機の機体はEPアビエーション名義になったままとのこと。

EPアビエーションは、ブラックウォーターを前身とするアカデミ(Academi)社のかつての子会社。社名に冠した「EP」は、他でもなくブラックウォーターの創業者であり、元海軍特殊部隊SEALs隊員「エリク・プリンス(Erik Prince)」氏のイニシャルに由来している。
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