米大学研究チームが「巻貝の貝殻」に隠された3層構造の秘密を使って新たなヘルメット・ボディーアーマーを研究中

ミリタリーブログサポートチーム

2017年05月31日 19:51

米国屈指の名門大学であり、工学分野で世界最高峰として名高いマサチューセッツ工科大学(MIT: Massachusetts Institute of Technology)の研究チームが、巻貝の貝殻(conch shells)の三層構造にヒントを得た防護ヘルメットやボディーアーマーの研究を進めている。

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軟体動物である貝類は、その外套膜(がいとうまく)に炭酸カルシウムの結晶(アラレ石または方解石)と小量の有機質から成る「貝殻」を纏うことで、荒波の中で岸壁に打ち付けられても砕けず、強力な歯を持つ外敵からも身を守っている。そして最近の研究では、貝類の中でも巻貝の一種の貝殻は、他のどの貝殻よりも強固な構造を持つことが分かっている。

MITの研究者らが巻貝の貝殻の秘密を研究したところ、3Dプリンターを使って人工的に再現が可能であり、防護ヘルメットやボディーアーマー製品として新たな可能性を導き出している。

その秘密は、3層に渡るその独特な構造にあると言い、亀裂が広がり難くなるよう、「ジグザグの土台(zigzag matrix)」となっているのが最大の要因となる。その強固さは、真珠母として有名なあの光沢質の貝殻と比べて実に10倍にもなることが示されている。


Photo: Melanie Gonick/MIT
また、巻貝の貝殻を模した幾何学構造を使った実験では、最も強度のある素材よりも亀裂伝播に対する耐性は185%、従来の繊維複合素材と比べても170%も優れていたという。

ヘルメットやボディーアーマーといった製品に落とし込むには、衝撃に対する抵抗能力である「強度(strength)」と、衝撃エネルギーの分散能力である「強靭性(toughness)」の両方が求められている。

本研究は、海軍研究局(US Navy Office of Naval Research)、国家防衛科学工学大学院生(NDSEG: National Defense Science and Engineering Graduate)、国防大学研究計測プログラム(DURIP: Defense University Research Instrumentation Program)、兵員ナノテクノロジー研究所(ISN: Institute for Soldier Nanotechnologies)と、カナダ自然科学工学研究会議(NSERC: Natural Sciences and Engineering Research Council of Canada)による支援の下で進められている。
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