ニュージャージー州警察がP229拳銃の不良品納入問題でシグ社を提訴

ミリタリーブログサポートチーム

2017年06月01日 17:32


Photo from SIG SAUER
アメリカ陸軍や国土安全保障省への採用が決定して以来、競争相手であったグロック社やFN社からの訴訟に巻き込まれ続けているシグ社が、新たにニュージャージ州警から、納入したP229が不良品であったとして提訴された。
州警は2014年に3000丁のP229 Enhanced Elite(EE)を導入したが、射撃検定に使用した際に排莢不良が相次いだ。シグ社はその後、何度かエキストラクターのピンやスプリングの交換を行ったものの、トラブルは収まることがなかった。

元々、採用の際の実射テストにおいてはEEそのものではなく、モデルチェンジ前のいわゆる「Legacy」モデルが使用されていた。EEはLegacyからかなりの部分が変更されているが、これによるエキストラクターの設計変更が原因ではないかと考えた州警はシグ社に対しEEをLegacyに置き換えるように求めた。


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シグ社は2016年1月までに全数を納入すると解答したが、半数が納期に間に合わず、しかも州警側・シグ側双方の担当者が同席した射撃訓練においてまたも排莢不良が発生。さらに納入されたうち25丁を検査したところ、うち5丁についてシグ側エンジニアが「ありえないほど摩耗している」として使用を禁じ、25丁のうちランダムに選ばれた5丁のうち3丁で極度の動作不良が発生するなどしたため、州警は使用を中止した

2016年1月末、シグ社は一連の不具合について「銃身・薬室内側の仕上げにも院内があった」と報告したが、州警は同年2月1日をもってシグ社に全数を返品し、新たにグロックと契約を結んだ。その上で今回、シグ社に銃器の代金170万ドル、ホルスターの代金85万6千680ドル、その他納入テスト時の弾薬代や人件費などの返金・補償を求める訴えを起こした。シグ社はニュージャージー州警が使用しているトレーニング用弾薬との相性問題であるとコメントしているl.

アメリカ陸軍や国土安全保障省のM17採用に関する訴訟は、調達プロセスに関するものであったが、今回の訴訟は機種こそ違えどシグ社製品の品質に関するものであり、注目すべきものといえそうだ。

Source: New Jersey Attorney General Says Gunmaker Sold Defective Guns to Police

Text: Chaka (@dna_chaka) - FM201706
Chaka (@dna_chaka)
世界の様々な出来事を追いかけるニュースサイト「Daily News Agency」の編集長。

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