普通のヘリを自律飛行ドローンにして補給ミッションに使う「AACUS」システムのデモに米海軍・海兵隊が成功

ミリタリーブログサポートチーム

2017年12月28日 16:59

戦場のどこにいても必要なものを必要な時に手に入れることができる。そんな兵站担当者の夢が叶うかもしれない。先日、Aurora Flight Sciences社が最終デモを行ったAACUS(自律飛行貨物システム)は、前線の兵士がタブレット端末で無人の自律飛行ヘリを呼び出し、補給を受けることができるシステムだ。

Aurora社とONR(米海軍海事技術本部)、海兵隊が共同で開発にあたっているAACUSは既存のヘリコプターを自律飛行ドローンとして使用できるハードウェア・ソフトウェアの複合体である。

Autonomous Aerial Cargo/Utility System (AACUS) - YouTube
AACUSを装備したヘリはLiDAR(レーザーによる測距システム)と光学カメラを組み合わせたセンサーが周囲の地形を読み取り、人間のアシストなしに建物や送電線などの障害物をさけつつ設定地点近くにランディングゾーンを探し、着陸できるようになる。デモでは不足の事態に備えてパイロットが搭乗していたが、動画を見ても分かるように操縦桿には一切触れていない。

タブレット端末を使用してヘリを呼ぶ海兵隊員。タブレットの使用に特別な訓練は必要なく、15分もあれば扱えるようになるという。複数の補給地点が同時に設定された場合、ヘリ側で自動的に最適なルートを算出するようになっている。

これまでも飛行デモは行われてきたが、今回はより実際の状況に近づけるべく、貨物の積み込み・積み出しと飛行経路の自動設定がデモに盛り込まれた。

今回のデモではUH-1ヘリが実験台に選ばれたが、AACUSはより大型のチヌークやブラックホークなど、フルサイズのヘリであれば何にでも搭載できるという。

補給線は最も狙われやすいところだが、ドローンであれば人員の損耗を気にすることはない。自律飛行なのでオペレーターも必要なく、さらに補給のコストを下げることもできる。AACUSの研究成果はAurora社から海兵隊に引き継がれ、今後様々なドローン開発プロジェクトに活かされることになる。

Source: DVIDS - News - Special Delivery: New Autonomous Flight Technology Means Rapid Resupply for Marines
Aurora Demonstrates Fully Autonomous Helicopter - Aurora Flight Sciences
AACUS - Aurora Flight Sciences

Text: Chaka (@dna_chaka) - FM201712
Chaka (@dna_chaka)
世界の様々な出来事を追いかけるニュースサイト「Daily News Agency」の編集長。

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