2018年01月11日 11:01
「我が連隊は、我々の伝統、能力、そして我々に寄せられる信頼を蝕む癌に侵されている」というショッキングな書き出しで始まる「告発文」が膨大な数の軍関係者や報道メディアに送られ、話題となっている。
U.S. Air Force photo by Airman 1st Class Joseph Pick
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内容の中心は選抜の易化について。2015年から様々な口実によって基準が引き下げられ、事実上フリーパスになっている、と責任者のソンタグ少将をはじめ幹部・関係者の実名を挙げて指摘している。Brig. Gen. Kurt Sonntag, deputy commanding general for U.S. Army Special Operations Command provides the opening remarks for the 2014 North Carolina Field of Honor. (Photo Credit: Chuck Vickers)
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グリーンベレーの選抜過程は大きく2段階に分かれる。前段は「A&S(19日間)」。そして後段の「Qコース(36週間)」である。前者は体力テストが中心、後者は特殊部隊員として専門的な教育を施しつつふるいにかける過程である。詳しくは以前の特集を参照されたい。
Photo by Staff Sgt. Russell Klika
落第者がいなくなることで、落第を前提としていたクラス編成も変化する。160~250人のSFOC参加者に対して、フェーズ2の「SUT(小規模部隊戦術)」の定員は120人しかない。当初はSFOC参加者に対して訓練中にポイントを付与し、高得点の者をSUTに送る方式が検討されていた。しかしソンタグ少将はSUTの定員を倍の240人に拡大する。United States Army soldiers in SFAS class 04-10 participates in log and rifle PT at Camp MacKall on Wednesday, January 13, 2010.
体力テストには腕立て伏せや腹筋だけでなく、リュックサックランやランドナビゲーションといった長距離移動訓練が含まれる。こうした歩兵の基本となる訓練に合格せずともQコースを修了できてしまうことになる。今や自分から辞退するか、あるいは負傷でコースを継続できなくなる以外は落第することがなく、辞退を申し出ても強く引き止められ、Qコースを継続するケースがほとんどであるという。
Photo by Staff Sgt. Russell Klika
Two Weeks in Hell Trailer - YouTubeしかしQコースの基準はアメリカ陸軍特殊部隊が経験した実戦から産み出されたものである。これを否定することは彼ら自身の歴史を否定することにほかならない。
なぜ上層部はQコースの合格基準をここまで引き下げてしまったのか。告発文では、特殊部隊員の採用ノルマを達成することで評価されたいという「高官どもの恥ずべきキャリアイズム」を挙げている。さらには「初の女性グリーンベレー」を採用するために基準を下げたのではないかとも推論している。
Photo by Staff Sgt. Russell Klika
Chaka (@dna_chaka)
世界の様々な出来事を追いかけるニュースサイト「Daily News Agency」の編集長。