セーヌ川沿いにある実際のミュージカルホールを「友好国の議事堂」と想定し、6名のテロリストが人質を取り立てこもったというシナリオである。
セーヌ川対岸の建物に配置された狙撃犯は、後に議事堂へ接近する部隊の掩護を担当する。セーヌ川の中からはコンバットダイバー2名が上陸。見張り役のテロリストを無力化した後、突入を実行する主力部隊の誘導を行なう。
やがて、「ティグル」攻撃ヘリと「ガゼル」小型汎用ヘリに援護を受けながら、「クーガー」汎用ヘリが議事堂近くにやってきて、アサルトチームがファストロープで降りてくる。
いっぽうセーヌ川からは、ガゼルに援護されながら強襲ボート2隻が議事堂近くの桟橋にやってきて、別のアサルトチームが上陸する。このチームには軍用犬がいる。
さらにまた別の汎用ヘリ「ピューマ」が議事堂上空へやってきて、屋上にファストロープで別のアサルトチームを降ろす。屋上からの要員はガスマスクを着用している。NBCを想定していることのアピールであろう。
議事堂への突入が敢行され、銃撃戦のすえ、テロリストらは無力化され、人質も確保される。負傷した人質に対する応急処置も行われる。
そんななか、セーヌ川に不審なボートが現れる。自爆テロを試みるボートである。セーヌ川を突進してくるが、ガゼルのミニガン連射や強襲ボートの機関銃により無力化される。容赦ない。
現場からの離脱のため、「カイマン」輸送ヘリが2機やってくる。ラペリングやファストロープで山岳コマンドーが地上に降り立ち、人質の脱出を援護する。
担架の人質や歩行可能な人質がカイマンに誘導されるが、列になって歩く人質が前を歩く者の肩に手を置いているのが印象的である。
ヘリやボートに乗り込んで離脱する方法以外に、「スパイリグ」を使って離脱する方法も展示している。特筆すべきは民間人のリポーターにもやらせている点である。政府からもテレビ局からも、よく許可が降りたものである。日本では考えられないだろう。
最後にリポーターが1RPIMaのモットーを紹介する。
「Qui Ose Gagne(敢えて危険を冒す者が勝つ)」
イギリス陸軍特殊部隊SASのモットー「Who Dares Wins」と同じであるが、これは1RPIMaの前身部隊が第2次世界大戦でSASとともに戦ったことの名残りである。現在、1RPIMaでは部隊の赤いベレー帽にSASのバッジを付けることが正装として認められている。
Text: ムッシュ・コナギ - FM201810